『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』原 恵一監督インタビュー‐後編‐「女性に観てもらいたい」

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5月9日に全国公開となる長編アニメ映画『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』。杉浦日向子のマンガ原作、日本を代表するアニメーション監督の原 恵一、アニメーション制作はプロダクション I.Gと話題の映画だ。さらに主人公である江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の娘であるお栄の声を杏が演じる。豪華キャスト陣も注目を浴びている。
映画公開を前の原 恵一監督インタビュー後編は、作品の背景やみどころなどについてお話をいただいた。

■ 正解は杉浦さんの原作に

映画の中で重要な位置を占めるのが、「江戸」「浮世絵」そして「葛飾北斎」といったキーワード。よく知っているようで、再現するには一筋縄ではいかない。原監督はこれらをどう解釈したのだろうか。

――本作は葛飾北斎が重要な役割を持っています。北斎についてどう思われていますか? お栄もそうですがかなりエキセントリックな人です。

原恵一監督(以下、原) 
僕にとっての北斎像は、『百日紅』にとっての北斎なんです。もちろん、今回つくるにあたって、北斎に関する資料も読みました。ちょっと風変わりな人物だったみたいですよね。

――原作があるとはいえ、原作に描かれてないものがあると思いますが、江戸時代の考証はかなり調べられたのですか?

原 
歴史考証を担当する人は今回は特に立てていません。とにかく正解は杉浦(日向子)さんの原作だとつねにスタッフに言っていました。

――ファンタジー的な要素も多少織り込みつつ、でもそこは深く追わないというバランスが絶妙です。

原 
それも杉浦さんの原作に準じて描いた部分なんです。不思議なことはこの世にはあるんだよ、ということです。

――ファンタジー作品ではないということですか。

原 
そうそう。日常と非日常が混在しているのが当時の江戸だった。僕らには見えなくなってしまったものたちを、江戸の人たちは見ていたかもしれない。

■ どこの国のお客さんも感動は同じ

原恵一監督は、近年、海外で評価を高めている。そして今回の「江戸」「浮世絵」は、海外のファンに大きなアピールが期待できそうだ。原監督は海外のファンをどう捉えているのだろうか。何か違った意識はあるのかを聞いてみた。そこからは意外な答えが返ってきた。

――先ほど『カラフル』のあと少し焦ったとありますが、5年ぶりのアニメ映画というのは、満を持してという感じでしょうか?

原 
いや、それはないですね。その気負いはとくになかったと思います。あったとすれば、自分が好きで好きで好き過ぎるぐらいな作家の代表作の『百日紅』を自分が監督する、このプレッシャーはすごくありました。

――『カラフル』ではアヌシー国際アニメーション映画祭でふたつの大きな賞を取られ、高い評価を得られました。今回はテーマが浮世絵、そして江戸、海外の人は当然関心持つだろうと思います。海外のファンに何かを伝えるという思いはありますか。

原 
それありきでつくったわけじゃないんですよね。むしろこの素晴らしい原作を今の人たちに観てもらいたい。こういう原作からこういう映画が生まれたんだ、というのを観てもらいたい、それが一番大きいかな。

――普通に作っているなかで海外にも受ける普遍性はあると?

原 
それは実際に今まで何度か実際に体験していることです。『河童のクゥと夏休み』や『カラフル』がフランスでも公開して、その時に向こうのお客さんとQ&Aをしましたが日本のお客さんと全然違うと思えない。みんな同じ、どこの国のお客さんも同じところで喜んだり感動したりしてくれる。
それを体験しているので、いつもどおりに作ればきっと今回も海外の人に伝わるんじゃないかと思っています。

■ 見せ場はいっぱい、映画の出来上がりに自信あり

最後はやはり映画の見どころだ。監督からは様々な見どころが返ってきた。見どころ満載の映画と言っていいだろう。そして最後には「自信あります」との力強い言葉も、劇場での作品がますます楽しみになりそうだ。

――原監督は子どもに人気の『クレヨンしんちゃん』に長く携わってきました。『カラフル』や『河童のクゥと夏休み』、今回の『百日紅』も大人の方が観て「よい映画だった」と楽しめるはずです。そこにはつくるときに違いはあるんですか?

原 
今回は僕にしては珍しいんですけど、女性に観てもらいたいと思っています。

――それは当初から?

原 
ええ。やはりお栄という江戸時代で23歳で独身で浮世絵師という職業を持った女性が、日々仕事の悩みや恋や家族関係というものを現代の働く女性たちにも共感してもらえるといいなと思っています。

――時代ものではあるけど、現代にも相通じると。

原 
そうですね。

――作品の見せ場、いろいろあると思いますけど、作画的にここは良かったところはありますか。

原 
お栄とお猶が船に乗って、そこに北斎の浮世絵のような波が押し寄せるところは、ダイナミックなシーンです。アニメだからできたと思います。
あとは最後のほうでお栄がお猶を心配して走っていくところ。あそこは背景動画という手法なんです。今はああいったカットをつくろうとしたら3Dでカメラワークをつくって、それに手描きの作画をマッチさせるのが当たり前です。けれど今回は作画であえて背景動画です。40秒近く、1カットで見せるということをやりました。

――作品からのメッセージはありますか?


メッセージありきの映画を作ろうと思ったことはありません。とにかく今回は、僕なりのエンターテイメントを目指しました。
『クレヨンしんちゃん』で長く、子どもを楽しませることをやってきた自分の経験を最大限に活かしてつくろうと思っていました。そうした作品にちゃんと仕上がったなと思っています。

――壮大なエンターテイメントとして楽しんでくださいと言っても大丈夫ですか?

原 
大丈夫です。自信あります(笑)。

――ありがとうございました。

『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』
5月9日(土)TOHOシネマズ日本橋、テアトル新宿ほか全国ロードショー
《animeanime》

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