【インタビュー】鈴木亮平、全てを賭して進むワケ 思い描いていた理想の30代に「全く届いてない!」

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『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』鈴木亮平/photo:Naoki Kurozu
  • 『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』鈴木亮平/photo:Naoki Kurozu
  • 『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』鈴木亮平/photo:Naoki Kurozu
  • 『HK/変態仮面アブノーマル・クライシス』 (C)あんど慶周/集英社・2016「HK2」製作委員会
  • 『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』鈴木亮平/photo:Naoki Kurozu
  • 『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』(C)あんど慶周/集英社(C)2016「HK2」製作委員会
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  • 『HK/変態仮面アブノーマル・クライシス』 (C)あんど慶周/集英社・2016「HK2」製作委員会
  • 『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』鈴木亮平/photo:Naoki Kurozu
「続編でコケるっていうパターンは映画界の“あるある”ですよね(笑)? でも、それを恐れて続編を作らないなんてのはナンセンス。そして、それを乗り越えた者だけが、三部作に手を伸ばせるんだと思います」。

『HK/変態仮面』の続編への強い思い、そしてその先にある三部作構想について語ったその言葉は、同時に、鈴木亮平という俳優の生き方そのものを表しているように思える。

心優しき青年・狂介が、女性のパンティを被ることでヒーロー“変態仮面”に変身し悪を成敗する――。90年代に「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)に連載され、カルト的な人気を誇った漫画が、鈴木さん主演で映画化されたのが2013年。わずか12館での公開から始まるも、話題が話題を呼び、興行収入2億円というヒットを記録した。あれから3年、待望の続編となる『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』が公開となる。

この3年で、鈴木さんを取り巻く環境は激変した。NHK連続テレビ小説「花子とアン」、ドラマ「天皇の料理番」(TBS)など、次々と話題の作品に出演して存在感を見せつけ、押しも押されもせぬ人気俳優としての地位を確立した。それは、ファンにとっては嬉しいことであったが、彼が人気を得れば得るほど、こんな思いが頭をよぎったのも確かだ。「もう鈴木亮平は“変態”という言葉が付く、パンティを頭にかぶるヒーローなんて演じられないのではないか?」。だが、それは全くの杞憂だった。続編制作は、彼自身が熱望し続けてきたものであり、その思いがぶれることも一度としてなかった。

「そこに迷いはなかったですね。もともと、自分たちがやりたくてやっている作品。役者として人気を得るためとかではなく、純粋に作りたくて始めたものであり、僕の状況がどう変わっても、その気持ちは変わらなかったです」。

興行的な意味での成功だけでなく、『HK/変態仮面』は鈴木さんに、俳優としていくつもの大切なものをもたらした。

「まずひとつは、どんなにくだらない作品でも、全力でぶつかればみんなが認めてくれるということ。自分の中での作品に向き合う姿勢というものが『HK/変態仮面』との出会いで決まったなと思います。あの時は肉体作りから入って1年以上かけて準備しましたが、そこまで自分の全てを賭けてやらなきゃ、世の中は動かせないんだと。いま、自分が置かれた状況であの時と同じ時間をかけることは難しいかもしれませんが、たとえ短い時間の中でもギリギリまでできる限りの準備をして臨む――それはあの作品で学んで、これからも常に変わらないだろうと思います」。

迷いは一切なかったが、続編に臨むにあたってプレッシャーはあった。「前作を超える作品にしなくてはいけない!」。それは鈴木さんのみならず、共演者、スタッフが現場で共有していた思いだった。

「現場に入ると前作に輪をかけてストイックな雰囲気でしたね。『続編だと浮かれていたら、失敗するぞ!』と。正直、前回は実質的な意味でのクランクインが公開の約1か月前で『これ、ホントに終了するのか?』『公開できるのか?』という次元のありえない過酷さだったので(苦笑)、その意味で今回、予算やスケジュールなど、多少なりとも改善された部分は大きかったんですが、なんだかそれが、すごく贅沢をしてるような気持になって逆に焦りましたね。よく考えたら“普通”になっただけなんですけど『いやいや、甘えちゃダメだ! もっと厳しく自分を追い詰めないと』と、もはや狂介としてではなく、素でMになってるという…(笑)」。

現在33歳。世代で言えば、小栗旬、山田孝之、藤原竜也といった、現在の日本映画で多くの主演を張る面々が並ぶが、鈴木さんもその一角を占めていることは間違いない。強い輝きを放つ同世代の存在について「すごく刺激をもらうことが多いし、いろんなタイプがいて、それぞれに自分に厳しくやってきて、その人にしかないものを持っている。ライバルとして一緒にやれるというのは恵まれている」と語る一方で、意外にもこんな思いも…。

「年齢で言うと彼らと同じ世代ではあるんですが、僕自身はデビューが23歳と遅かったですし、それ以前から、彼らが売れているのを見てきたので、圧倒的に“後輩”のような感覚が強いんですよね(苦笑)。だから、タメ口で話しつつも、いまだに『旬くん』と呼んでるし、どこかでライバル心だけでなく、コンプレックスに近い感覚を持っているのかな…? 綾野剛は同じように30代近くになっていろんな作品に出るようになって、同じ軌跡を歩んできた部分もあり“同世代”って感覚は強いんですけどね(笑)」。

もちろん、だからといって俳優として遠慮や気後れなどはない。23歳でデビューした頃、10年後にこれだけ知名度を上げ、様々な作品に引っ張りだこになっていることを予測していたか? そう尋ねるとハッキリとこう言い切る。

「正直、ビハインドですね。いま自分がいるポジションというのは、当時の自分が思い描いていた30代に全く届いてない。3分の1くらいですね。まあ、もともとの理想がどんだけ高過ぎるんだ! って話ですけど…(笑)」。

冗談めかしつつも、まぎれもない本音である。そして、デビュー当時から持っている高い高い理想を降ろしたことも一度もない。その上で、こう続ける。

「ただ、焦りもないんですよね。うん、焦りがなくなったことが自分の中で、20代と比べて一番大きく変わったところなのかな? やっぱり、20代の間は焦ってました。それがなくなったのは『これ!』というひとつのきっかけがあるわけじゃないんですけど、少しずつ自信がついてきたのかな…と思います。この世界、自分が努力した分しか返ってこないし、逆に努力して、懸命に積み重ねた分はしっかりと結実していることも実感してます。その手応えの中で、自分なりのペースがあるということもわかったんですよね。だから、焦ったり、無理に抗うのではなく、ひとつひとつ着実にやっていけば、それは僕が最初に思い描いていた時期とは違うかもしれないけど、いつか必ず行きたい場所にたどり着けるって」。

まずはこの続編の成功。「そうすれば、その先が見えてくると思います!」
《photo / text:Naoki Kurozu》

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