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【シネマモード】ジェレミー・アイアンズが、愛するものに遺したいもの『ある天文学者の恋文』

今年、ジェレミー・アイアンズの活躍が目を引きます。なぜ今?とも思うのですが、彼の芸達者ぶりを考えれば、理由はどうあれ映画ファンには嬉しい限り。

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『ある天文学者の恋文』 (C) COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L
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  • 『ある天文学者の恋文』 - (C) COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.
  • オルガ・キュリレンコ初出し場面写真/『ある天文学者の恋文』 (C) COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L
  • オルガ・キュリレンコ初出し場面写真/『ある天文学者の恋文』 (C) COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L
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  • オルガ・キュリレンコ初出し場面写真/『ある天文学者の恋文』 (C) COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L
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今年、ジェレミー・アイアンズの活躍が目を引きます。なぜ今? とも思うのですが、彼の芸達者ぶりを考えれば、理由はどうあれ映画ファンには嬉しい限り。しかも、『ハイ・ライズ』『栄光のランナー/1936ベルリン』『奇蹟がくれた数式』など話題作ばかり。なかでも、最もロマンティックとも思える作品が『ある天文学者の恋文』。『ニュー・シネマ・パラダイス』で知られる名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督の最新作で、急逝したある天文学者が恋人に遺した謎にまつわるミステリアスなラブ・ストーリーです。

これまで、ちょっと個性的だったり、エキセントリックだったり、ひと癖ある役柄を多く演じてきた彼が、ここのところ、穏やかな役を多く演じていることに興味津々という方も少なくないでしょう。今回も愛に満ち溢れた穏やかな男性を好演しています。そこで、多忙なジェレミーをやっとのことで捕まえて、役についてたずねてみました。

愛のカタチは人それぞれ。表現の仕方もひとそれぞれです。個人的には、「愛してる」とか、さも“これが私の愛の証だ”などとこれみよがしに示されるのは苦手なのですが、そんな私でも、こんな愛情表現もあるのだな、こんなに愛されるって女冥利に尽きるなと、しみじみ感じさせられたのが『ある天文学者の恋文』。内容は、タイトルそのまま。ある高名な天文学者であるエドワードが、道ならぬ愛を貫く相手エイミーに、自らが死んだ後も恋文を送り続けるお話。でも、その恋文が一風変わっているのです。

かつて恋文と言えば、紙に直筆で書かれたもののみだったわけですが、今では、パソコンでしたためられて紙に印刷されたものだったり、E-mailで送られてくる文書だったり、メッセージアプリで送られてくるものだったり。恋文も時代とともに姿をかえているわけです。本作は大人のラブ・ストーリーではありますが、時代を感じるコミュニケーションや恋文が登場しています。

最初にこのプロジェクトについて聞いたとき、エドの計画について「とても興味をそそられた」と話すジェレミー。

「僕が映画を選ぶ基準は話が僕にとって興味深いかどうかだ。そしてその役が前にやったことのない役かどうか。僕の選択は僕の興味を反映しているかもしれないし、年が経つにつれてその興味は変わっていくと思うな」。

個性的な役も多く演じていますが、ここのところ、柔らかさと穏やかさのある役が続いている印象。それは、彼の興味の移り変わりが表出しているというわけなのです。ということは、役をみれば、彼の心情が読み取れると言えるのかもしれません。

そんな彼がエドのように、愛するものに遺したいものとは。

「幸せな思い出。僕が彼らを愛したという変えがたい事実だね」。あくまでも物質的なものではなく、いつまでも色あせない想いというものが、一番の宝物なのですね。

本作で亡きエドワードがエイミーに恋文を送り続ける際、時代性を色濃く反映するかのように、現代的なツールが大活躍します。かつては言葉のみだった愛の告白が、紙という大発明によりラブレターとなり、電話、メール、オンライン通話などと、手法の選択肢を広げていったことを考えると、世の中の進化も実感。そこには、愛するという感情は変わらなくても、時代によって表現方法や届ける手段は変わっても、そこに乗せられる感情は、古代から変わることが無いという監督の熱い想いが込められているようにも思えるのです。

「エドは今できる方法でコミュニケーションをとっている。それが彼に与えられた唯一の手段だったんだ。この映画はコミュニケーションとは何か、それが、僕が生まれてから現在に至るまでの間にどのように変化したかについての映画でもあると思うよ」。

今、この時代だからできる愛の告白。今という時代が、この作品のロマンチシズムを大いに盛り上げ、この物語を作り上げているといっても過言ではありません。名匠が描く、壮大なラブ・ミステリー。大事なあの人と、ぜひご一緒に。
《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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