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【インタビュー】のん、初めての体験に悪戦苦闘「すごくてこずって、とことん付き合ってもらった」

「すごくてこずりました。現場でとことん向き合っていただきました」と発した厳しい言葉の内容とはうらはらに、キュートに微笑んだのは、のん…

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のん『この世界の片隅に』/photo:Kyoko Akayama
のん『この世界の片隅に』/photo:Kyoko Akayama
  • のん『この世界の片隅に』/photo:Kyoko Akayama
  • 映画『この世界の片隅に』-(C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
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  • 映画『この世界の片隅に』-(C) こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
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  • のん『この世界の片隅に』/photo:Kyoko Akayama
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「すごくてこずりました。現場でとことん向き合っていただきました」と発した厳しい言葉の内容とはうらはらに、キュートに微笑んだのは、のん。戦争が背景にあるアニメーション作品『この世界の片隅に』で主人公すずの声を担当し、アニメ映画初主演にチャレンジした。声の出し方から人物描写にいたるまで、片渕須直監督を質問攻めにしたと明かしたのんさんの、新たな血肉となった渾身作に込めた思いとは。

人物に声を吹き込むというオファーを受けたとき、素直に驚いたと話したのんさんは、共に送られてきたこうの史代が描いた同名原作を読み終える頃には、「絶対にやりたい」と決意を固くしていた。「これまで、戦争は自分が住んでいる世界とは別のものだと捉えていたんですけど、作品ではちゃんと日常があったんです。戦時下の物語として、本当に大切に生活が描かれているところが自分としてはすごく新鮮で、素敵だなと思いました」と、作品の虜になった。

のんさんが伝えるように、『この世界の片隅に』は、太平洋戦争の時代に広島県呉市に生きたひとりの女性・すずの日常を描いた物語。戦争と隣り合わせに生きることになったすずが、健気に生活を送る姿―日々の炊事や洗濯、苦手なお針子に、ちょっとした恋愛―を繊細なタッチで綴った。ホワホワしていてかわいらしく天然、だけど、ひとつことを決めたらやり通すような芯の強さが垣間見える主人公は、のんさんの清廉なパブリックイメージに重なるよう。

声入れについて、のんさんは「いままで女優としては、体全部を使って表現していました。表情や動き、相手との掛け合いもあるので、自然と五感を動かすことがとっかかりになっていたんです。でも、今回は基本的に私ひとりで(声を)入れていく作業で、表現を乗せるのが難しかったです」とふり返る。だから、冒頭の監督質問攻めのくだりになる。

「リハーサルのときに全部終わって帰ろうとする監督を呼び止めて、台詞の解釈を聞いたりしました。でも、足りなくて(笑)。すずさんの人柄を掘り下げたくて、スタッフさんを介してLINEに箇条書きでバーッと書いたものを毎晩送りつけて、『ここはどうですか?』と細かく聞いたりしていました。監督は、とことん全部答えてくださいました」と、熱いやり取りの経緯を説明した。のんさんの想いを超えてくるように、監督も高い熱量で現場をリードした。「監督って…、ものすごくタフなんです。ごはん休憩なしで何時間もいっちゃうくらい集中力がすごくて、乗っからせていただきました。途中、『あ、ちょっとダメかも』と思ったときには『トイレ行きます!』って行ったりして(笑)。すごく楽しかったです」。

幼少期から始まったすずの物語は、やがて18歳でお嫁にいく姿を追いかけてゆく。優しい旦那さんと仲良く暮らすすずのもとへ、重巡洋艦「青葉」の水平となった地元の同級生・水原が訪ねてきて、ちょっとしたドラマが生まれる。淡い初恋にも似た感情を持っているような描写がある水原とすずだっただけに、大人になって再会した二人の間には微妙な空気が流れるのだ。それは、のんさんが「現場に入ってからも、ギリギリまですずさんの気持ちがわからなかった」と、最も悩んだシーンでもあった。

「水原さんがきて、布団でぬくぬくと二人きりになるシーンでは、すずさんが彼に膝枕をしたりするんです。その行動は意外だったし、本当にすずさんの気持ちがわかりませんでした。すずさんが水原さんのほうに揺れているようにも見えるというか」。迷い、悩むのんさんに、小さい頃は兄弟みたいな関係性の二人だったという裏設定が告げられる。リラックスできる間柄だからこそ取った行動と納得したのんさんは、最大の難所をクリアはしたものの、「すごくてこずりました」と、男女の機微を声だけで表現する難しさを痛感したのだった。

ひとつひとつの場面と向き合った結果、作品が完成することは、この上ない喜びだろう。のんさんは、「素晴らしい作品に出させていただきました」と充足感を覚えながら、戦争をモチーフにした作品に関わることへの想いも同時に寄せる。「戦争という題材が入ってきているからこそ、どんなことがあっても日常を生きていかなくてはいけないというテーマを感じました。私くらいの若い年の人も、日常の大切さを、より感じる作品になっていると思います。日常を普通に生きる…普通であることが、すごく素晴らしいことだと感じていただけると思います」。
《photo / text:Kyoko Akayama》

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