ジム・ジャームッシュが贈る、伝説のバンドへのラブレター『ギミー・デンジャー』
“ゴッド・ファーザー・オブ・パンク”と呼ばれ、カリスマ的な人気を誇るロックンローラー、イギー・ポップ。そして、音楽にこだわりながら独自の世界を作り上げてきた映画監督、ジム・ジャームッシュ。かねてから親交が深かった2人の
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1967年、ミシガン州アナーバーで結成されたバンド「ザ・ストゥージズ」。過激で危険なフロントマン、イギー・ポップを中心にバンドは活動を始めるが、その型にハマらない音楽はキワモノ扱いされる。だが、そんな彼らにいち早く注目したのは、イギリスで人気絶頂だったデヴィッド・ボウイだった。ボウイに呼び寄せられ、彼らは渡英。その後、たった3枚のアルバムを残し、74年にバンドは解散する――。
「セックス・ピストルズ」「ニルヴァーナ」「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」など後の音楽シーンに多大な影響を与え伝説となった「ザ・ストゥージズ」。現在では、パンクやオルタナ・ロックの出発点となったバンドとして再評価され、2010年にはロックの殿堂入り。ロックの歴史のなかで、“最低のバンド”から“最高のバンド”となった稀有な存在だ。
ジャームッシュは、1日10時間に及ぶイギーへのインタビューを敢行。メンバーや関係者にも取材を重ね、完成までに8年もの月日を費やした。本作のきっかけは、旧知の友人でもあるイギー自身からの依頼だったという。「僕はイギー・ポップの大ファンだけど、なんといっても『ストゥージズ』の子どもだ。オハイオで育ったストゥージズ・キッド。だからまず『ストゥージズ』ありきなんだ」とジャームッシュ。そのためには「まず、僕は自分の気持ちをある意味ブロックしなければならなかった。僕のヒーローであり、アイドルである人とのコラボレーションであるという考えをね」と語り、彼との距離感についても言及する。
そして、でき上がった本作は、通常のドキュメンタリーとはひと味異なり、コラージュのようであり、アニメーションも取り入れた独創的な作品となった。「僕はゴシップやプライベートを掘り起こす類のドキュメンタリーが大嫌いなんだ。無礼だし下品だし、本人を食い物にする、そういうものに興味をかき立てられない。だから。メンバーのプライベートを詮索して明かすようなものにはしたくなかった」とジャームッシュ。
「それからコラージュのような映画のスタイルにした理由は、何かしら『ストゥージズ』の音楽に近いものを作りたいと思ったから。ワイルドで、とっ散らかっていて、ファニーでエモーショナルで、強烈で心に刺さるような。そういう映画にすることは決して生易しいことではなかったけれど、ベストを尽くしたつもりだよ」と、自信たっぷり。
映画の中には、未発表の映像も数多く含まれている。「『ストゥージズ』に関する素材というのはとても限られたものであり、しかもそれらはファンにとってはすでに馴染みの、よく知られたものばかりだった。だからプロデューサーのカーター・ローガンや、もちろんジム(ジェームズ・ニューエル・オスターバーグ・ジュニア/イギー・ポップの本名)自身が協力してくれて、いろいろな知人にあたって、あらゆるものをかき集めた。だから、映画には当時のテレビ・コマーシャルやニュース映像や、『ストゥージズ』のたくさんの写真や未発表のフッテージなどが使用されている」と明かす。
「それらを編集のアフォンソ・ゴンサルヴェとアダム・カーニッツが巧みに構成してくれたんだ。もっともこれらの権利を得るのにほとんど1年かそれ以上掛かった。だから多くの人の助けを得た、とても複雑な作業だったよ」と、ジャームッシュはどこか誇らしげにふり返っている。
『ギミー・デンジャー』は9月2日(土)より新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。