6日(現地時間)、第82回ヴェネチア国際映画祭が閉幕した。
最高賞の金獅子賞は、ジム・ジャームッシュ監督・脚本による『Father Mother Sister Brother』が受賞した。映画の内容は、長く疎遠だった兄弟が再会し、過去のわだかまりと向き合いながら、感情的に距離を置く両親との関係を改めて考え直していくというもの。ケイト・ブランシェット、アダム・ドライバー、シャーロット・ランプリングらが出演している。
同監督は受賞スピーチで、「ここにいるみなさんは、競うために映画を作っているのではないと思います。それでも私は予期せぬ栄誉を賜り、審査員の方々にとても感謝しています」と謙虚に語った。また、かつて黒澤明監督がアカデミー名誉賞を受賞した際の「私はまだ映画がよくわかっていない」という言葉を引用し、「毎回の制作が学びです」と付け加えた。その様子が映し出された動画は「Deadline」のXでも確認できる。
監督自身が「予期せぬ」と語ったように、金獅子賞は予想外の結果となった。授賞前には、23分以上のスタンディングオベーションを受け、結果的には銀獅子賞(審査員大賞)を獲得したカウテール・ベン・ハニア監督の『The Voice of Hind Rajab』や、パク・チャヌク監督の『No Other Choice』が最有力と見られていた。特に後者は受賞作8本の中にも選ばれなかったことから驚きと批判の声が上がり、審査員長のアレクサンダー・ペインは「シンプルに、8本の中に入らなかっただけだ。心は痛む。選ばれなかった作品の中にも、私たちがとても気に入ったものはある」と弁明した。
主な受賞作品・受賞者は以下の通り。
金獅子賞
ジム・ジャームッシュ『Father Mother Sister Brother』
銀獅子賞(審査員大賞)
カウテール・ベン・ハニア『The Voice of Hind Rajab』
銀獅子賞(監督賞)
ベニー・サフディ『The Smashing Machine』
審査員特別賞
ジャンフランコ・ロージ『Below the Clouds』
脚本賞
ヴァレリー・ドンゼッリ&ジル・マルシャン『At Work』
ヴォルピ杯(俳優賞)
男優賞:トニ・セルヴィッロ『La Grazia』
女優賞:シン・ジーレイ『The Sun Rises on Us All』


