部屋に入ってきた瞬間、空気がパッと華やいだ。こう言っては失礼かもしれないが、隣りのお兄さんのようないい意味での普通っぽさが持ち味だとイメージしていた。だが、『伊藤くん A to E』完成披露試写の舞台挨拶を終え、スーツ姿で取材場所に現れた田中圭は身のこなしも優雅。表情や仕草に余裕があり、写真撮影ではジョークで周囲の緊張をほぐしてくれる。その振舞いは、スランプに苦しむ女性脚本家や関わる女性たちを翻弄しまくるイケメン“痛男”伊藤くんたちが繰り広げるドラマを見守るプロデューサー、田村という劇中の役どころと重なるようにも思える。
田中:この作品の女の子たちはみんなすごい一生懸命。でも、どこをどう一生懸命になればいいか分からない。でも、それは年齢に関係なくみんなそうだと思うんです。僕もそうだし。本当はもっとこうしたいとか、いろいろ悩むけど、学校の勉強のように明確な答えはないし、いい俳優になるためのテキストみたいなものも一切ないから。じゃあどうするんだ、というと自分と向き合うしかないと思う。そういう意味で『伊藤くんA to E』の5人の女性に共感できるんです。