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【インタビュー】形なき“水”が表す、愛の多様性『シェイプ・オブ・ウォーター』監督語る

第90回アカデミー賞で最多13部門にノミネートされている『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督が来日。取材に応じ「どんな形にも変化する水は、愛の多様性を示している」と世界中を席巻する異色のラブストーリーについて語った。

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Photo:Ryo Uchida/『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ インタビュー
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  • Photo:Ryo Uchida/『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ インタビュー
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  • 『シェイプ・オブ・ウォーター』 (C)2017 Twentieth Century Fox
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  • Photo:Ryo Uchida/『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ インタビュー
  • 『シェイプ・オブ・ウォーター』 (C)2017 Twentieth Century Fox
  • Photo:Ryo Uchida/『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ インタビュー
  • 『シェイプ・オブ・ウォーター』 (C)2017 Twentieth Century Fox
第90回アカデミー賞で最多13部門にノミネートされている『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督が来日。取材に応じ「どんな形にも変化する水は、愛の多様性を示している」と世界中を席巻する異色のラブストーリーについて語った。

■映画が描くさまざまな愛の形(=シェイプ)


米ソが冷戦を繰り広げていた1962年、政府の極秘研究機関で清掃員として働く女性イライザ(サリー・ホーキンス)と、そこで出会った“不思議な生き物”(ダグ・ジョーンズ)が、運命的な出会いを果たす…。アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞など最多13部門にノミネート。特に、芸術的な功績を評価すべきタイミングにあるデル・トロ監督は、今年の監督賞に最も近い存在だ。「自分なりの映画愛を詰め込み、詩的なパワーと美意識を表現できた作品で、評価されたことを光栄に思うよ」と大きな体全身で喜びを表す。

Photo:Ryo Uchida/『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ インタビュー第90回アカデミー賞最多13部門にノミネート。「評価されたことを光栄に思うよ」と話すデル・トロ監督/Photo:Ryo Uchida
「物語の主軸は口がきけない女性と、アマゾンの奥地で神と崇められている“不思議な生き物”の種族を超えたラブストーリーだ。加えて、友情や奉仕の気持ち、未来や科学に対するあこがれといった愛の多様性を描いている。モチーフに水を選んだのは、どんな形にも変化するから。映画を見れば、水を飲む、涙を流す、雨が降る、卵をゆでる…そんな水の描写に気づくはず。それらを通して、愛がもつ可能性を追求したかったんだ」

■ファンタジーだからこそ「現実的なメッセージが伝わる」


種族の違いを乗り越えるラブストーリーといえば、アンデルセンの「人魚姫」に始まり、『シザーハンズ』や『美女と野獣』など古今東西、数多く存在するが、どれも幻想的な寓話として、愛の本質を問いかける名作ばかりだ。

ダークファンタジーの傑作『パンズ・ラビリンス』でも知られるデル・トロ監督は、「ファンタジーだからこそ、現実的なメッセージを投げかけることができる。愛や平和といった人類規模の大きな概念、思想を伝えるには、最も効果的な手法なんだ」とその“効用”を力説する。

『シェイプ・オブ・ウォーター』 (C)2017 Twentieth Century Fox『シェイプ・オブ・ウォーター』(C)2017 Twentieth Century Fox
その上で1962年が舞台になった点にも、重要な意味がある。「明るい未来が提唱される一方、人種差別や不平等、核戦争の恐怖が根深い社会だった…。そう、2018年の現在も、状況はまったく変わっていない。このシナリオを書き始めたのは2011年頃で、当時はトランプが大統領になるなんて、想像もできなかったけど(笑)、メキシコ出身のマイノリティとして、圧力を感じていたんだ」。レトロフューチャーな美術や衣装も見どころだが、他者を恐れ、排除しようとする今日の切実な“リアリティ”こそが、奇妙で純粋なラブストーリーをより輝かせているのだ。

■“不思議な生き物”最大のこだわりは、お尻?



Photo:Ryo Uchida/『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ インタビュー本作に登場するクリーチャーを作る際「女性の意見」を取り入れたというデル・トロ監督/Photo:Ryo Uchida
過去にも多種多様なモンスター、クリーチャーが躍動していたデル・トロ作品。ただ、本作に登場する“不思議な生き物”は、女性が一目ぼれする恋愛対象としての“説得力”が必要だった。「リアルであると同時に美しい…。女性の情熱を駆り立てる存在でなければいけなかった。だから、デザインの際には女性の意見をたくさん聞いたんだ。アレハンドロ(・ゴンザレス・イニャリトゥ監督)の奥さんに、初期のデザイン画を見せたら『この唇なら、私は絶対キスしない』ってダメ出しされたよ(笑)」

Photo:Ryo Uchida/『シェイプ・オブ・ウォーター』ギレルモ・デル・トロ インタビュー顔のパーツは「ウルトラマンに影響を受けているかもしれない」デル・トロ監督/Photo:Ryo Uchida
キャラクターの印象を左右する瞳については「キュートにすべきか、知的に見せるべきか」と議論を重ねた。全身のシルエットは、細マッチョなスイマー体型に。「一番こだわったのは…、やっぱりお尻じゃないかな」。また「後に気づいたんだけど、顔のパーツは、ウルトラマンに影響を受けているかもしれないね。穏やかで神々しいバランスなんだ」と秘話を明かしてくれた。
《photo / text:Ryo Uchida》

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