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『ファントム・スレッド』新星女優、ヒロイン大抜擢の裏側に迫る「学生映画の短編かと…」

ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作『ファントム・スレッド』で、無名ながら、俳優引退を表明しているダニエル・デイ=ルイスに引けを取らない演技を見せている、ヒロイン役のヴィッキー・クリープスのキャスティング秘話が明らかになった。

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『ファントム・スレッド』(C)2017 Phantom Thread, LLC All Rights Reserved
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ポール・トーマス・アンダーソン監督が名優ダニエル・デイ=ルイスと2度目のタッグを組んだ映画『ファントム・スレッド』。本作で、無名ながら、俳優引退を表明しているダニエルに引けを取らない演技を見せている、ヒロイン役のヴィッキー・クリープスのキャスティング秘話が明らかになった。

>>『ファントム・スレッド』あらすじ&キャストはこちらから

ルクセンブルク出身のヴィッキーは、ドイツ語、フランス語、英語、ルクセンブルク語の4か国語を操り、『ハンナ』(ジョー・ライト監督)、『もうひとりのシェイクスピア』(ローランド・エメリッヒ監督)、『誰よりも狙われた男』(アントン・コービン監督)、『コロニア』(フロリアン・ガレンベルガー監督)などに出演。2012年には、ルクセンブルクで最も有望な新人に送られる賞“Prix du Jeune Espoir”を受賞した。

そんなヴィッキーが本作で演じるのは、ダニエル演じる天才的仕立て屋に見いだされ、田舎のレストランを飛び出して華やかなドレスをまとう社交界へと転身するアルマ役。劇中では瞬く間に垢抜けていく過程と、何者にも支配されない意志の強さをときに大胆に、ときに繊細に体現し、ダニエルにも一歩も引けを取らない存在感を放っている。

『ファントム・スレッド』(C)2017 Phantom Thread, LLC All Rights Reserved
彼女を抜擢したアンダーソン監督は、「オーディション映像に映るヴィッキーを見て、彼女はウェイトレスにも、レイノルズのドレスを着こなすミューズにもなれると確信したんだ」と、オーディション映像を観て、彼女の中に光るものを見出したそう。また、「アルマの態度とエッジの効いた性格、あれは演技ではない。ヴィッキーはどんな状況でも自分の信念を貫き通すことを恐れないんだ。彼女は爆竹のようで、レイノルズを破壊していく様は本当に最高のドラマだよ! 言わせてもらうと、彼女は演技をしていません(笑)。いや、もちろん彼女は素晴らしい女優なので演技はしていますが、あの意志の強さとパワーは、ヴィッキー本人を思い出させます」と、まさに役柄と本人とが一体になっていたと大絶賛。

さらに、「彼女は、完全に何もないところからそれを出して来たわけではなく、ただ無防備だったんです。彼女がおじけづいたところを僕は見ていませんし、感じもしませんでしたが、どちらかというと、ダニエルからは、彼自身が及び腰になっていたと聞いたよ!」と明かしている。

『ファントム・スレッド』(C)2017 Phantom Thread, LLC All Rights Reserved
一方、ヴィッキーはオーディションの際、アンダーソン監督の最新作だとは知らなかったそうで、「オーディション用のメールをちゃんと読んでいなかったの。共感の持てる内容で、すぐに気に入ったから、すぐにオーディション用のテープを撮影して送ったのよ」とその内容に惚れ込んだため、ほかのことは目に入らなかったという。

その後、エージェントから「監督がオーディション用のテープを気に入っているみたいだから、あなたの電話番号を教えていい?」と聞かれ、彼女は気軽に了承。そのときになってようやく「エージェントは『監督が誰なのかわかっているの?』と驚いて聞いてきたの! 私は、ちゃんとした脚本もなかったから、学生映画の短編くらいに思っていたのよ。まさかポール・トーマス・アンダーソンだったなんて、本当に驚いたわ!」と、相手が名監督であることを知ったときのことを明かした。

また、撮影はダニエルの希望もあり、リハーサルは一切なしで現場入りという方法だったそうで、「完全に役になりきるために、デイ=ルイスの前でも興奮しないよう努めたわ。私は完全な白紙になったわ。可能な限り自分を空っぽにしたのよ」と撮影をふり返っている。

『ファントム・スレッド』(C)2017 Phantom Thread, LLC All Rights Reserved
『ファントム・スレッド』は5月26日(土)よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》

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