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“こじらせ青春漫画”の名手、押見修造が「漫画家になれなかったかも」と語る原点とは

7月には、漫画家・押見修造のルーツが詰まった「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の実写化作品が公開を迎える。ヒット作が次々と映像化、人々を魅了させるその理由とは一体…? 今回、公開を控える映画と彼のその魅力に迫ってみたい。

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『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(C) 押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(C) 押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
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  • 『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(C) 押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
  • 『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(C) 押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
「惡の華」「ぼくは麻理のなか」など、近年映像化が続く漫画家・押見修造。7月には、彼のルーツが詰まった「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の実写化作品が公開を迎える。ヒット作が次々と映像化、人々を魅了させるその理由とは一体…? 今回、公開を控える映画と彼の作品の魅力に迫ってみたい。

■“こじらせた青春”を描かせたら右に出る者なし!?


2002年に「真夜中のパラノイアスター」でデビューし、ボードレールの詩集を愛読する少年が、強烈な自我をもつ同級生の少女と交流していくなかで、思春期特有の屈折した自分探しをしていく様を描いた「惡の華」が高く評価され、その名が広まるようになった押見氏。

物語の展開の巧みさ、押見氏がこだわる表情の繊細な描き込みは、役者や映画監督、クリエイターたちからも絶大な支持を得、本作はTVアニメ化。さらに、「漂流ネットカフェ」「ぼくは麻理のなか」はドラマ化、そして、「スイートプールサイド」は須賀健太ら出演で映画化され、彼の作品は映像化が続いている。

押見修造「ぼくは麻理のなか」(双葉社)押見修造「ぼくは麻理のなか」(双葉社)
誰しもが経験し、過去に葬ってきたであろう痛い思春期を描き続けてきた押見氏。そんなトラウマを掘り起こすかのように、人間の内面を生々しく描き出す作風が、制作側の創作魂を刺激し、また読者たちは自分を重ねつつ、自然とその世界観にハマってしまうのだろう。

■実体験を下敷きに…「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」


そして、2013年のアニメ版も話題となった押見氏の代表作「惡の華」と並び、“もうひとつの最高傑作”とファンの間で言われるのが、7月14日に実写映画が公開となる「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」。「惡の華」とは正反対のテイストだが、実はこの2つは同時期に執筆されていたという。

他作品とは比べ物にならないくらいに自身の経験を下敷きに描かれたこの「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の主人公は、吃音により自分の名前すら上手く話すことができない高校1年生の大島志乃。母音からの発音が苦手という設定や、クラスの自己紹介で笑い者になってしまう場面は、押見氏自身の実体験を基に描かれている。

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(C) 押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
また、本作を執筆するにあたりインスピレーションを受けたのが、2001年公開のソーラ・バーチとスカーレット・ヨハンソンが共演した映画『ゴーストワールド』だという押見氏。高校を卒業したばかりのはみ出し者の少女2人の鬱屈した日常を描いた青春物語は、志乃と加代のキャラクター設定にも影響を感じさせる。

■「誰にでも当てはまる」共感できる作品


また押見氏は、「吃音でなければ漫画家になれなかったかもしれない」とも。吃音があったからこそ人の表情から感情を読み取ることが得意になり、キャラクターの表情を描く際の力に変え、自分の言いたいことが伝えられないもどかしさの反面、それを漫画という形で爆発させることができたという。

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(C) 押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
だが一方で、“吃音漫画”ではなく、「誰にでも当てはまる物語にしたかった」という強い押見氏の意向から、漫画・映画共に作品内では意図的に「吃音」や「どもり」という言葉は使用されておらず、実際に幅広い年齢層の読者から「共感した」「勇気をもらった」などといった絶賛の声が寄せられている。

■実写版にも原作者のこだわりが…


そして今回、はじめて押見作品に触れる導入作品としてもおすすめの本作を、「ワカコ酒」「リピート~運命を変える10か月~」などを手掛ける湯浅弘章監督がメガホンをとり実写化、7月14日(土)に公開される。

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(C) 押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
志乃と加代役には、「nicola」専属モデルであり、『幼な子われらに生まれ』で女優デビューを果たした南沙良と、『三度目の殺人』『友罪』と話題作に出演する蒔田彩珠。本作が初主演となる2人が披露する歌声やギター演奏も見どころの一つとなっている。ほかにも、同級生の男子・菊地役に萩原利久、さらに渡辺哲山田キヌヲ奥貫薫ら実力派が脇を固める。

そんな話題の実写化で押見氏がこだわったのは、登場人物たちがCDを貸し借りするシーンの“楽曲”のセレクト。志乃と加代の同級生、菊地の好きな音楽として、キャラクターの精神性を表すために少しメジャーから外れた「ニルヴァーナ」や「ムーンライダーズ」、「ダイナソーJr.」を使ってほしい、と撮影に入る前に監督に指定したのだ。学生時代、音楽にのめり込んでいたという押見氏のこだわりが、映画にも反映されている。

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(C) 押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
押見氏が感じたリアルな青春の痛みと微かな希望が映し出された、原点とも言える「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」。ファンはもちろん、押見作品初心者も、押見氏自身大満足の出来だという実写映画で、その世界観に浸ってみてほしい。

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』は7月14日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。
《シネマカフェ編集部》

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