西島秀俊、この秋は“二番手”俳優に!『オズランド』では弾ける笑顔も

秘密を抱えた公安捜査官や謎多き天才ドクターなど、知的でクールなイメージが根強い一方、TVCMで披露する爽やかな笑顔も印象的、“イケボ”にも定評がある西島秀俊。今秋公開される出演映画を前に、その魅力に改めて注目してみた。

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『オズランド』(C)小森陽一/集英社(C)2018 映画「オズランド」製作委員会
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  • 『ペンギン・ハイウェイ』完成披露舞台挨拶(C) 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
  • アオヤマ君のお父さん『ペンギン・ハイウェイ』(c) 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
  • 『散り椿』に出演するキャスト陣
  • 原作「散り椿」書影
秘密を抱えた公安捜査官や謎多き天才ドクターなど、知的でクールなイメージが根強い一方、TVCMで披露する爽やかな笑顔も印象的、現在公開中の『ペンギン・ハイウェイ』や2013年の宮崎駿監督作品『風立ちぬ』で披露した“イケボ”にも定評がある西島秀俊。しかし、今秋に連続公開される出演映画では、役回りがこれまでとは少々違っているようだ。

9月28日(金)公開の『散り椿』では岡田准一演じる主人公の“親友”にしてかつての恋敵、11月16日(金)公開『人魚の眠る家』では篠原涼子の“夫”役で東野圭吾のミステリーに挑む。さらに、10月26日(金)公開『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』では主演・波瑠に“笑顔の魔法”を伝授する人物に扮するという。そんな西島さんの魅力に改めて注目してみた。

『オズランド』(C)小森陽一/集英社(C)2018 映画「オズランド」製作委員会

「あすなろ白書」の後、活動の場は映画へ!


1971年3月29日生まれ、今年47歳となった西島さん。横浜国立大学在学中(後に中退)に東京アクターズスタジオ第1期生となり、「はぐれ刑事純情派V」で俳優デビュー。1993年、石田ひかりや筒井道隆、木村拓哉、鈴木杏樹らが出演した月9ドラマ「あすなろ白書」でゲイの青年を繊細に演じて人気を博した。

1994年、『居酒屋ゆうれい』で映画初出演。以降は、諏訪敦彦監督のもと台本なしの撮影に挑戦した『2/デュオ』(’97)や、黒沢清監督による初主演作『ニンゲン合格』(’99)など、気鋭監督の独立系映画で徐々に注目を集めるようになる。西島さんは後のインタビューで、「この2人の監督と出会ったことが大きい」と自身の俳優人生をふり返っており、「『映画ってこんなにもとてつもないものなんだ』と見方が変わってきた」と明かしていた(2015年『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』公開時)。

記者会見/『クリーピー 偽りの隣人』第66回ベルリン国際映画祭黒沢清監督『クリーピー 偽りの隣人』第66回ベルリン国際映画祭の記者会見にて
さらに、2002年の北野武監督『Dolls/ドールズ』では菅野美穂と赤い糸でつながり、当てもなく彷徨い続ける恋人同士を演じた。憧れでもあった北野監督ことビートたけしとは、その後もドラマ「菊次郎とさき」で“たけし”の担任教師役を務める縁があり、『劇場版MOZU』('15)では役者として初共演(しかも宿敵役!)、香港出身の名匠ウェイン・ワン監督『女が眠る時』(’16)でも共演が実現した。

西島秀俊、ビートたけし/『女が眠る時』初日舞台挨拶ビートたけしと『女が眠る時』初日舞台挨拶にて
当時のインタビューではこの豪華タッグに、「現場でももちろん勉強になりましたけど、完成した映画を見て『一からやり直そう』って思いました」と激白、「こういうアート映画に北野さんがいらっしゃるともう全然、勝負になりません」「心を入れ替えてやり方を探していかないとっていう思いで、いろんな意味でインパクトを受けた作品でした」と、“衝撃”の共演について語る姿が印象的だった。


テレビに映画、エンタメ大作からアート系まで縦横無尽に活躍


その後は、2004年に北海道のコンビニを舞台にした『銀のエンゼル』、井口奈己監督の『犬猫』、紀里谷和明監督の『CASSHERN』にも出演。死刑囚を演じた2008年の主演作『休暇』も高く評価されたほか、ラブストーリー『さよならみどりちゃん』、柴咲コウの上司を演じた『メゾン・ド・ヒミコ』、加瀬亮と共演した『東南角部屋二階の女』、SABU監督による小林多喜二原作『蟹工船』、松本清張の原作を犬童一心監督が映画化した『ゼロの焦点』、阿部寛と共演したフランス・カナダ合作『メモリーズ・コーナー』といった多彩な作品と巡りあっていく。

『蟹工船』 -(C) 2009「蟹工船」製作委員会2009年の『蟹工船』
そして、2000年代はじめにテレビに戻ってきた西島さん。仲間由紀恵主演の「大奥~第一章~」('04)では徳川家光を演じ、2006年の映画『大奥』にも別の役柄で参加。連続ドラマ「アンフェア」では、雪平(篠原涼子)と関係を持ちながら、「アンフェアなのは誰か」と書かれたしおりを事件現場に残すキーパーソンに扮した。

2010年には、「チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋」で救命救急センター部長・速水晃一役を得る。「ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)」の異名を持つクールで天才的な救命医で、ときにその手腕は強引さが過ぎるほど。しかも、棒付きキャンディーを常に持ち歩いているという、どこか謎めいたキャラクターはハマリ役の1つとなった。その後、「チーム・バチスタSP2011~さらばジェネラル!天才救命医は愛する人を救えるか」でもメインキャストを務め、2014年の「チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮」と映画『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』でも同役を演じている。

伊藤淳史&西島秀俊/『チーム・バチスタ FINAL ケルベロスの肖像』初日舞台挨拶『チーム・バチスタ FINAL ケルベロスの肖像』初日舞台挨拶にて。伊藤淳史とは共演作多数
NHKの連続テレビ小説では、宮崎あおいがヒロインを務めた「純情きらり」(’06)に出演、10年ぶりとなった「とと姉ちゃん」では高畑充希ら三姉妹の心の支えとなる父親役を演じ、出演回はわずかながら最後まで強い印象を残した。また、大河ドラマでは「毛利元就」以来16年ぶりに出演した「八重の桜」('13)が代表作に。演じたのは主人公・八重(綾瀬はるか)の兄・山本覚馬役だが、過去の作品でもたびたび披露してきた“脱いだらスゴイ”筋肉がさらにたくましく仕上がっており、大きな話題を呼んだ。

2015年には直木賞作家・重松清のベストセラー小説を原作にした「流星ワゴン」と、「チーム・バチスタ」シリーズの伊藤淳史とコンビを組み、“神の診察眼”を持つ天才医師を演じた「無痛~診える眼~」といった主演ドラマが続き、1930年代の満洲国で理想に燃える天皇の料理番を演じた『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』が昨年公開されるなど、大ブレイク以降も躍進。

『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(C)2017 映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 (C)2014 田中経一/幻冬舎『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』
そんな中、2014年11月には悲鳴に近いファンの声を背に、16才年下の一般女性との結婚を発表、現在は1児の父となっている。


「ストロベリーナイト」菊田役で多くのファンを虜に


西島さんの人気を決定づけた作品といえば、2010年のスペシャルドラマから連続ドラマとなり、2013年、劇場版で完結した竹内結子主演の警察ミステリー「ストロベリーナイト」だろう。演じた菊田和男は、姫川(竹内さん)への絶対的な信頼と敬愛(以上のもの?)を胸に秘めながら、実は甘党だったり、ガチパンチのツッコミを入れたりする多面的なキャラクターが幅広い世代の女性を夢中にさせた。

『ストロベリーナイト』-(C) 2013 フジテレビジョン S・D・P 東宝 共同テレビジョン FNS27社 光文社映画『ストロベリーナイト』では菊田にも試練が…
さらに、TBS×WOWOWの「ダブルフェイス」チームと再び組んだ重厚なサスペンスアクション「MOZU」シリーズにおいても、公安のエースといわれるほど有能でありながら、娘も妻(石田ゆり子)も失い、悲しみと混乱を抱えて真相に挑む主人公・倉木が当たり役に。ドラマは「ギャラクシー賞」2014年7月度月間賞や「東京ドラマアウォード2014」などを受賞し、国際エミー賞にもノミネートされた。

西島秀俊主演「MOZU」(C)TBS・WOWOW
記憶に新しいところでは、初共演の小栗旬とバディを組んだ「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」('17)の田丸も、ストイックな男っぽさがハマった。小栗さんとの息の合ったキレキレアクションやテレビドラマの枠を超えたスケールは回を重ねるごとに話題となり、その幕引きは「映画化や続編がありそう」と物議を醸すことに。「ストロベリーナイト」や「MOZU」と同様、今作をスクリーンで目にしてみたいファンは多いはずだ。

西島秀俊&小栗旬/「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」制作発表会見
ちなみに小栗さんは、西島さんについて「かなりナチュラルな方で、現場でほとんど笑っているんです」と暴露、「すごくチャーミングなので、野武士みたいなイメージは覆されました」と明かしていた。また、共演回数の多い石田さんに至っては「笑った顔が子犬のように可愛くて…なんだかもうズルいですよね、ズルい!(笑)」とコメント。

やはりその素顔は、ドラマでのハードボイルドな姿とはまるで違うらしい!? これまでの出演作の中から、意外な表情にハッとする作品をピックアップしてみた。

「CRISIS」公式ツイッターでも自らこんな証言も…

必死に生きる姿がいじらしい『ニンゲン合格』


“姫”竹内さんが妻、“盟友”香川照之が奇妙な隣人を演じた『クリーピー 偽りの隣人』をはじめ、4度もタッグ組んでいる黒沢清作品の記念すべき1作目『ニンゲン合格』。事故で昏睡状態となり、10年ぶりに目覚めたら家族がバラバラになっていた青年・吉井豊を好演した。見た目は24歳でも(貴重なロン毛)、中身は14歳のまま。それでも前向きに生きていこうとする、その必死さがときに愛らしく、思わず頬が緩む。父親の友人役で役所広司、事故に関わった男で大杉漣、妹役で麻生久美子、その彼氏役で哀川翔らが出演。


突然“父性”に目覚める!?『帰郷』


母の再婚を機に帰郷し、元カノと“再会”したら、彼女が1人娘を置いて行方不明に。ひょっとして、この子は僕の子…? 女の子の母親探しに翻弄される『帰郷』('05)の主人公・晴男は、優しくて真面目ゆえにちょっとトボケて見える姿が新鮮。そんな若き日の西島さんからは、「ソフラン」のCMのような“パパの顔”が時折、覗いている。


『サヨナライツカ』女性を落とす罪な笑顔



『サヨナライツカ』初日舞台挨拶
婚約者(石田さん)がいながら、出張先のタイで奔放な女性・沓子(中山美穂)に惹かれ、2人の間で揺れ動く「好青年」とは名ばかりの罪な男・豊を演じた『サヨナライツカ』('10)。当時の初日舞台挨拶では、そんな男の性に「しょうがない」を連発していたが、沓子との異国デートはかなりデレデレで楽しんでいたような…。シャワー上がりの濡れ肌に白シャツ+バスタオルという斬新な格好も披露。


『CUT』唯一の“笑顔”を見逃さないで



『CUT』 (原題)
イランの名匠アミール・ナデリ監督との渾身のタッグ作『CUT』(’11)では、亡くなった兄の借金を“殴られ屋”で返済しようとする映画監督の秀二役に。血まみれになりながら秀二が訴えるのは、シネコンで上映する商業娯楽映画が主流となり、アート系映画の“居場所”がなくなっている映画業界の現状。やがて、彼の“返済”は壮絶な展開を迎えるものの、秀二が行うシネフィル上映会では、映画を楽しむ観客の笑顔に思わず笑みがこぼれる姿が! また、撮影時にはギリギリまで体脂肪を落としたそうで、本格的に鍛える以前の細マッチョな西島さんも必見。


“風見鶏”なコミカル演技『脳内ポイズンベリー』



『脳内ポイズンベリー』-(C) 水城せとな/集英社 (C)2015フジテレビジョン 集英社 東宝
年下のアート系男子(古川雄輝)に恋した主人公(真木よう子)の脳内で行われる会議が、現実に騒動を巻き起こしていく『脳内ポイズンベリー』(’15)。冷静沈着で知性に溢れた西島さんが、脳内会議の議長で“理性”の吉田を演じるのは納得。とはいえ、ポジティブ(神木隆之介)、ネガティブ(吉田羊)、衝動(桜田ひより)、記憶(浅野和之)をまとめきれずに混乱するあまり、メガネにピキッとヒビが入るところなどは爆笑必至。


ドラマ「奥様は、取り扱い注意」優しい旦那の裏の顔は!?



「奥様は、取り扱い注意」第1話-(C)日本テレビ「奥様は、取り扱い注意」第1話より (C)日本テレビ
「CRISIS」の金城一紀が原案・脚本を手がけた綾瀬はるか主演ドラマ「奥様は、取り扱い注意」('17)では、菜美が合コンで知り合った“旦那さん”を演じた西島さん。「アフラック」のCMにも近い、絵に描いたように温和で妻の背中をそっと押してくれる夫かと思いきや、実は裏の顔が…! 笑顔の西島さんが「今日は何してた?」と食卓で訊いてくれるのなら、許せる!?

『オズランド』“こんな明るい役は何年ぶりかな”



『オズランド』(C)小森陽一/集英社(C)2018 映画「オズランド」製作委員会
このところ、ハードボイルドな役が多かった西島さんは、今作では主人公の新入社員・波平久瑠美(波瑠)をはじめ、遊園地・グリーンランドで働く仲間を見守る笑顔がすてきな優しい上司・小塚慶彦を演じている。

小塚は病気のブタに添い寝したり、社員にドッキリを仕掛けたりするちょっぴり天然な三枚目キャラ。それでいて、“魔法使い”と呼ばれるほど、数々の企画を見事成功させてきたカリスマ社員。ただし、お酒は少々弱いらしい。

『オズランド』(C)小森陽一/集英社(C)2018 映画「オズランド」製作委員会
原作者の小森陽一氏は、「僕の印象にあるストイックな西島さんとは違って、遊園地の中にいる西島さんは終始穏やかでにこやか。お芝居をしている時も、待ち時間も、ずっと笑顔を絶やさない優しいオーラの人でした」と語り、「あんな笑顔を見たら、男でも女でもみんな好きになってしまいます。これぞまさに魔法使いの真骨頂だと思います」と、西島さんの笑顔にすっかり魅了された様子。

プロデューサーによれば、「西島さん自身も『こんな明るい役が来たのは何年ぶりかな』とおっしゃっていましたが、同時に『こういった役柄が好きなんですよね』」との言葉も。

『オズランド』(C)小森陽一/集英社(C)2018 映画「オズランド」製作委員会
波瑠さん演じる波平との凸凹なやりとりには萌えポイントが多々あり、しかも、波平の彼氏役である“今年の男”、中村倫也との間には火花が散る予感? 西島さんの、これほどまでに弾けた明るいキャラクターは久々となるだけに要注目だ。

一転、木村大作監督の『散り椿』で演じるのは、頭脳明晰で藩の中でも頭角を現す榊原采女という人物。岡田さん演じる主人公・新兵衛にとって、かつての親友であり、同じ女性を想った恋敵であり、新兵衛が藩を追われた理由にも関わっている。予告編映像では、2人が刀を交える緊迫したシーンもあり、彼らの因縁が気にならずにはいられない。

『散り椿』に出演するキャスト陣『散り椿』に出演するキャスト陣
一方、堤幸彦監督による『人魚の眠る家』は、西島さん“らしい”役柄といえるかもしれない。最先端の医療テクノロジーを取り扱う企業に身を置くことから、脳死状態の我が子にかつてない延命措置をとるも、やがて離婚寸前だった妻・薫子(篠原さん)の常軌を逸した行動に深く苦悩していくことに。

『人魚の眠る家』キャスト6名『人魚の眠る家』キャスト陣
これら3作ではいずれも、西島さんは“二番手”だ。主演作も多数ある西島さんだが、例えば「ストロベリーナイト」の“菊田”や「CRISIS」の“田丸”のように、主人公の葛藤する姿や成長を傍らで見守り、ときに手を差し伸べながら、自分自身が抱える問題にも改めて立ち向かっていく“二番手”という立ち位置で、さらなる新境地を見せてくれることだろう。
《text:Reiko Uehara》

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