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【MOVIEブログ】Cinemage: 助けて下さい(前)

自分なりの映画へのオマージュ、Cinemage。
今回は僕が現場で本当に体験したことを書いてみます。
ストーリーではなく、ドキュメンタリーです。

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自分なりの映画へのオマージュ、Cinemage。
今回は僕が現場で本当に体験したことを書いてみます。
ストーリーではなく、ドキュメンタリーです。

「助けて下さい」

それはある映画のクランクアップの日のことでした。

当時(いまも)大人気だったアイドルの主演映画で、地方のある都市でのロケを中心に撮影が行われていて、クランクアップもその街でした。その小さいけれども美しい街並みを眺められる小高い丘の上のシーンでした。実はその映画のラストシーンもその丘だったのですが、残念ながらラストシーンでクランクアップを迎えるというのは、映画の撮影ではとても稀なことで、今回のクランクアップのシーンも映画中盤の悩める主人公が家に帰ってくるシーンでした。

映画のクランクアップというのは、絶好の宣伝ポイントでもあるので、映画の宣伝部はよくそこに取材を入れ込んだりしています。よく見かける俳優や女優が花束を持って満面の笑みを浮かべている写真や映像です。ああいうものを各種媒体に取らせるように仕込むのです。

そういうわけで、今回も東京から取材陣を大挙呼び込んでいました。その数およそ20人強。映画のロケ現場に呼び込む取材陣の人数は、撮影現場に迷惑にならないようにという配慮も含めて通常なら10人もいればかなり多い方なので、この20人強というのはかなり異例の多さ。それはイコールその主演俳優の人気がそれだけスゴかったということでもあるわけです。

ただ、難しかったのは、クランクアップシーンが野外での撮影ということで、天候に左右される可能性があったことでした。つまり、雨が降ってしまうと撮影が出来ないので、直前まで天気とにらめっこになり、クランクアップの日がギリギリまで決まらないということがあり、そこの調整が大変でした。でも、結局天候にも無事に恵まれ、当初の予定とあまりずれることなくクランクアップの日を迎えることになりました。

当時の宣伝部隊は自分が宣伝プロデューサーという立場で全体の宣伝プランを統括して、そこに各種媒体での宣伝を仕込むパブリシティ担当がいて、テレビ媒体担当で1人、新聞雑誌媒体担当で1人で、合計3人のチームで動いていました。映画の撮影部隊は50人~60人所帯で、そのほかのプロデューサーなどの関係者で20人前後、これにこの取材陣が20人強。屋外というロケーションの中で、これらの総勢をこの3人で対応しなければならないので、現場では宣伝部がどれだけ忙しいことになるか分かって頂けるかと。撮影の進捗状況を現場に確認しながら、東京から連れてきた取材陣には待たせすぎて退屈させないように色々ケアしたり、プロデューサーやキャスト本人への説明をしつつ、撮影部・照明部・衣装部やメイクさんにもコメント撮影の協力を仰いでいったりというようなことをやっていくので、本当に現場では火の車状態。そんな火の車を3人で必死に回しながら何とかようやく最後の撮影を迎えようという段になりました。

そして、それまで現場から離れた所で待たせていた媒体さんや関係者をクランクアップの現場にお連れしようとしたその矢先のことでした。さっきまで僕の脇で走り回っていた新聞雑誌担当のNの姿が見当たらないのです。もともと電波状況の悪い場所だったので携帯もうまく繋がらず、何処に行ったか誰も分かりませんでした。

(つづく)
《text:Yusuke Kikuchi》

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