【インタビュー】作品との出会いを大切にしたい――役者コリン・ファレルの挑戦

「出演作を選ぶうえで最も大事なのは脚本。脚本がよくなければ、物語に共感を呼ぶ力がなければ、俳優としての好奇心は生まれない。どんなに監督が素晴らしくてもね」。

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コリン・ファレル『ダンボ』
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  • 『ダンボ』(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved
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「出演作を選ぶうえで最も大事なのは脚本。脚本がよくなければ、物語に共感を呼ぶ力がなければ、俳優としての好奇心は生まれない。どんなに監督が素晴らしくてもね」。

こう率直に語る姿は、俳優生活約20年のほとんどを映画界の第一線で過ごしてきたコリン・ファレルらしいもの。ただし、「この作品にも、素晴らしい物語があった」の「この作品」が『ダンボ』となると、彼のイメージから少しそれるかもしれない。

ヨルゴス・ランティモスと組んだ『ロブスター』『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』やソフィア・コッポラ監督作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』など、近年特にダークな出演作が続いたコリン・ファレルが、ディズニーアニメの実写化に出演? その理由は前述の通りだが、それ以外にも実は大きな理由があるという。

“これがあるから力を出せる”シンボルの必要性


コリン・ファレル『ダンボ』
「監督より脚本…と言っておきながら矛盾するけど、今回の一番の理由はティム・バートン。彼と組むのが夢だったんだ。おかげで、美しい物語にかかわることもできた。でも、ティムほど心優しく、『ダンボ』の題材に最適な監督はいないから当然のなりゆきと言えるかもしれないね。息子たちに見てもらえる作品に出られたのもすごく嬉しい」。

“コリン・ファレルらしさ”という点で言えば、そのセクシーさで注目を集めた彼が、いまや「息子たちに見てもらえる」と顔をほころばせるのも意外と言えば意外。それでいて、セクシーさも何ら損なわれていないのだから…ずるい。さておき、劇中でも彼は父親を演じている。大き過ぎる耳の子象・ダンボを、コリン演じる戦争帰りのサーカス団員・ホルトとその子どもたちが世話するのだ。アニメには登場しない一家だが、「ホルトたちの物語とダンボの物語が響き合っているのがいい」と言う。

『ダンボ』(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved
「ホルトは戦争に行っている間に子どもたちの母親を失い、ダンボもやがて母親と引き離される。一家がダンボに重ね合わせるものは大きいと思うね。もちろん、ダンボという存在から何かを感じ取るのは彼らだけじゃない。ダンボは大き過ぎる耳をからかわれるけど、実際のところ、その耳は“ギフト”であり、ダンボが耳を使って空を飛ぶきっかけを作った羽根は“シンボル”。人には生まれながらにして何らかのギフトが備わっているし、人生にはシンボルが必要なこともある。これがあるから力を出せる、というシンボルがね。物でも、人でも、ジンクスでもいい。ただし、人はどんどん成長する。その中で気づくんだ。何かに頼らなくても、自分の中に強さはあるのだとね」。

子どもたちがダークな出演作を見る日は…?


『ダンボ』(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved
羽根を吸い込んでくしゃみをし、ダンボは空を舞う。言い換えれば、ダンボは羽根がなければ、空を飛べないと思い込む。羽根などなくても、飛べるかもしれないのに…? できないと思い込んでいることも、やればできる。人生でそう感じたことがコリンにもあるのだろうか。

「僕自身、人生の祝福は受けていると思う。その中で葛藤することも、挑戦しなくてはならないこともあるけれど。特に、2人の子どもたちの父親になれたことは最大の挑戦であり、栄誉。できないと思っていたことができている自分に驚かされているよ。ただし、自分自身に驚くというよりは、愛する人たちに日々驚かされていると言ったほうが正しいかな。息子たちがどんどん強くなっていく姿が、僕を驚かせてくれるから」。

コリン・ファレル『ダンボ』
話を聞いているだけで、役者として、父親として充実した日々を送っているのが伝わってくる。ちなみに、「息子たちに見てもらえる」と言っていた『ダンボ』は、現時点では「まだ1人にしか見せていないけど、すごく楽しんでいた」とのこと。さらに、「長男のジェームズは僕の作品をいろいろ見られる年齢になった。次男のヘンリーには『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』を見せたけど、“なんでパパが悪役なの? 僕は悪者と暮しているの!? ”と嘆いていた(笑)」そうだ。では、「いろいろ見られる年齢になった」という長男は近年のダークな出演作も見ている? と確認すると、「いや、それは見せていない」。引いておくべき一線というものがあるそうだ。

「彼らが何歳になっても、見せる心の準備はできないかもしれない。『聖なる鹿殺し』なんて、同世代の友人たちでさえひるんでいたから(笑)」。

挑戦は続く「自然な出会いを大切にしたい」


オチに使われてしまった『聖なる鹿殺し』から『ダンボ』まで。長い俳優生活の中で様々な挑戦をし尽くしたようにも思えるが、「やりたいことはまだまだ尽きない」と断言する。

「作品ごとに違った問いを投げかけられるのが俳優業の面白いところだからね。もちろん、どの役を演じるときも変わらないプロセスはある。どんな人生哲学を持つ役か、どんな背景を持つ役か。それを探る作業は同じだけど、その先に役ごとのユニークな挑戦が何かしらある。ただ、それが何なのか。どんな作品を求め、どんな役を演じたいのかは答えられない。出会わないと分からないし、自然な出会いを大切にしたいから。新しくて異なるものを求めているのは確かだし、繰り返しは避けたいけどね。でも、全世界70億の人にそれぞれの人生があるわけで、ほんの一部にすら満たないものを演じている自分が“これは繰り返しかも?”と思う必要は全くない。そう思う以上の物語が絶対にあるから」。

コリン・ファレル『ダンボ』
そんな中、あえて繰り返したい経験も、『ダンボ』にはあったそうだ。

「完成後のプレミアでね。子どもの観客たちに囲まれ、いままで経験したことのない喜びと快感を味わったよ。“ドウェイン・ジョンソンはいつもこんな感覚を味わっているのか!?”ってね」。

と言いつつ、「次は『聖なる鹿殺し』の続編を作るから(笑)。またダークな作品に戻るよ」と不敵にニヤリ。最初の一言は冗談だが、これからもコリン・ファレルの挑戦は続く。それは真実だ。

コリン・ファレル『ダンボ』
《text:Hikaru Watanabe》

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