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【インタビュー】豊原功補の“嫌われる勇気”「恐れずに自由度の高い作品を作れば日本映画も世界と戦える」<後編>

日本の映画づくりのシステム、エンターテインメント界の変革を志し、小泉今日子らと共に映像制作プロダクション「新世界合同会社」を設立し、映画『ソワレ』で初めてプロデュース業に挑戦している豊原功補。

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大事なのは「作り続けること」


資金面やスケジュールの管理などだけでなく、豊原さんは積極的に作品の中身そのものにも関わっているという。自らを「うるさい、古いタイプのプロデューサー(笑)」と語る。

「自分が俳優として現場にいたら、確実に『うるさいヤツだなぁ』って思ってるでしょうね(笑)。もちろん、外山監督が自分で脚本を書かれていて、やりたいことのベースはあるので、それをどうやって形にするか? こちらにそれがどう伝わっているのか? 伝わっていないのか? 『こういうことをやりたいのかもしれないけど、そうなってないよ』といったことをどんどん口出ししていますね。そこはやはり、質のいいものを作っていかないと、自己満足になってしまうのでね」

プロデューサーという立場として当然、具体的な「観客動員数」や「興行収入」といった数値が頭をよぎらないわけではない。だが、何より大事なのは「作り続けること」だと考えている。

「単なるマスターベーションで終わらせないためにも、事業として見合うか? という考えは常について回っていて『これは善をなそうとして悪に組み込まれていく一歩なんじゃないか?』って思ったりもしてます(笑)。いまのは岩松了さんの戯曲のセリフなんですけど」。

「やっぱりこの1作で何かを変えられるほど簡単じゃないですから、さっきも言いましたが、いくつもの『点』のひとつになれたらいい。それがいくつもつながって『波』を起こせたら…ホントにね、1回じゃ変わらないですから」。

「今回、こうして新世界合同会社を作ったけど、『ソワレ』の公開は2020年の秋の予定だからまだまだ先です。じゃあこの1年、答えが出るまで黙って見ているかと言えば、それじゃきっと心が離れちゃう。この映画を見届けるためにも、“次”を始めないといけない。この場所に立ち続けるには、ここで遊び続けなきゃいけないと思っています。もちろん、この作品に関してやるべきこともまだまだ残ってるんですけど(笑)」。

豊原功補『ソワレ』インタビュー後編/photo:Naoki Kurozu

日本映画の質を高めるには?その1「技術」


近年、日本映画の「ガラパゴス化」が指摘されている。一方、つい最近の話だが、ひとつの光明と言うべきか、“黒船”と呼ばれるNetflixの台頭の中で「全裸監督」のような作品がそこにラインナップされ、地上波ではできない作り方、表現方法なども含め、業界内でも注目を集めている。

「僕もNetflixはよく見ますし『全裸監督』も見ました。面白かったです。日本の作品の質をどう上げていくか? という点に関しては、2つの方向性があって、ひとつは“技術”の部分、もうひとつは“マインド”の問題になってくると思います」。

「技術に関して言うと、まだまだ日本に、世界で通用する技術を持ったスタッフはたくさんいますよ。ただ最近は便利な機材のおかげで、カメラ技術や編集ひとつとっても、楽にできることが多くなり過ぎちゃったと思います。撮影後に寄りや引きを調整できるようになったりして、現場での能力というのが落ちているのかなと」。

「そこはもう少しアナログな感覚で『いまあるものが全てだ』という感覚でやっていかないと技術は下がっていってしまう。それは俳優も同じで、デジタル化によって、以前のような『いまあるロールの中のフィルムに収めなきゃ』という気合が以前と比べると全然違う。そういう細かい部分での技術力って日本の武器だったはずなのに、それを自分たちで手放してるところがある」。

「でもそこは、ちゃんと頑張れば取り戻せると思います。それこそ、昔の怖い先輩を現場に呼び戻して、きちんと技術を継承していけば、まだ間に合うと思っています」。
《text / photo:Naoki Kurozu》

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