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100年前も女性たちが立ち上がった!井上真央&室井滋らが熱演する『大コメ騒動』の意義

“いま”と驚くほど似通った状況の100年前、富山県で起きた「米騒動」の中心となった女性たちにスポットを当てた映画『大コメ騒動』は“いま”だからこそ観たい痛快なエンタテインメントだ。

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『大コメ騒動』(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
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いまから100年ほど前、富山県で起きた「米騒動」が日本各地に伝播した。この史実の中心となったのは、漁師町で働く“おかか”と呼ばれる女性たち。彼女たちの活躍は日本の女性による、初めての市民運動ともいわれている。

そんな“おかか”たちにスポットを当てた映画『大コメ騒動』は主演の井上真央や、室井滋、夏木マリをはじめとする実力派女優たちが日に焼け、髪を乱しながら体を張って熱演。先行きの見えない“いま”だからこそ楽しめる、実に痛快なエンタテインメントを作りあげている。

『超高速!参勤交代』シリーズの本木克英監督が描く、大正の「米騒動」




時は1918(大正7)年。現在と同じように、新型のウイルス感染症(スペイン風邪)が世界的に猛威を振るうなか、日本は世界大戦の影響で好景気となり、都市部には新中間層(ホワイトカラー)が生まれて格差がますます広がっていた。

主人公・松浦いと(井上真央)たち“おかか”が毎日60キロもの米俵を背に担ぎ、船積みのために浜を何度往復しても日当は20銭。夫が北海道や樺太に出稼ぎに行っている間はそのわずかな収入で家族を食べさせなくてはならないのに、対する米1升の価格は33銭…。

『大コメ騒動』(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
やがて、シベリアに兵を送るために大量の米が必要になるはずと商人による買い占めが横行、市場は米不足となってますます価格が高騰し、ついには日当の倍以上となってしまう。毎日あれだけ米を運んでいるのに、米が手に入らないってどういうこと!? 我慢の限界にきた “おかか”たちが奮起したのが「米騒動」だ。

『大コメ騒動』(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
“おかか”たちの目線から、この史実を映画化したのは、笑って泣いて熱くなる時代劇エンタテインメントの新ジャンルを定着させた『超高速!参勤交代』シリーズや、『釣りバカ日誌』シリーズといったコメディから、社会派の『空飛ぶタイヤ』まで多数手がけてきた本木克英監督。約20年前、同じ富山県出身で、日本のミニシアターの草分け「岩波ホール」の総支配人だった故・高野悦子さんから話を持ちかけられたことがきっかけとなっている。


女性たちが団結し、立ち上がる!
現代を生きる私たちにも刺さる物語


『大コメ騒動』(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
まずは「米を旅に出すな!」と、リーダー・清んさのおばば(室井滋)の呼びかけで米の船積みを阻止しようとする“おかか”たち。また、一帯を取り仕切る大地主・黒岩(石橋蓮司)に陳情し、買い占めをする米屋にも直談判に行く。大阪から若手新聞記者(中尾暢樹)が取材にやってくるが、実状や真意はなかなか伝わらず、こうした抗議活動に尾ひれがついてセンセーショナルな文字だけが紙面を飾るのも現在とよく似ている。

『大コメ騒動』(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
「女が動いたところで何も変わらない」。仲仕の親分・源蔵(吹越満)が“騒動”に参加している妻・トキ(鈴木砂羽)にかける言葉が象徴的だ。だがその一方で、機に乗じた社会活動家(西村まさ彦)が「労働者よ立ち上がれ」と演説を打っていると、「理想や主張では腹いっぱいにはならない。“おらっちゃ”は“おらっちゃ”のやり方でやる」と、おばばが痛烈に言い放つ。

彼女たちは家族の命を守るために、そして脈々と続いている「女ごときが」「女のくせに」といった性差別に(直接描かれてはいないが性暴力にも)抗うために、何より日々身を粉にして働く自分たち自身のために、自分たちができることで声を上げただけだ。

『大コメ騒動』(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
これは近年でも、世界的に広まった「#MeToo」に、ハイヒール・パンプス強制に対抗した「#KuToo」、化粧品やタイツの広告表現への反発など“炎上”と呼ばれて話題となった出来事とも地続きであり、いうなれば原点。「女たちがまた騒いでいる」のではない。いつの時代も、ひとりの人間として尊厳をかけて生きている証なのだ。


井上真央、室井滋、夏木マリ、鈴木砂羽ら俳優陣に注目


イラスト:大賀陽子イラスト:大賀陽子
女性のひと声がきっかけとなり、“おかか”たち働く女性を主役にして完成した本作。いと役を演じるのは、連続テレビ小説「おひさま」や大河ドラマ「花燃ゆ」で主演を張り、映画『八日目の蝉』では第35回アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した井上真央。

『大コメ騒動』(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
井上さん演じるいとは、本来なら女学校に行けるほどの秀才であるものの漁師町に嫁いできた女性。“おかか”たちの中で新聞を読めるのは彼女だけ。「何の役の立つのやら」といわれる本好きな聡明さを生かすことができず、いつも周囲の目を気にしていたが、やがて騒動を引っ張っていく存在となる展開は見どころ。米俵を必死につかんで離さない、“おかか”としての気概溢れるシーンも必見だ。

『大コメ騒動』(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
“清んさのおばば”役には富山県出身の室井滋。本木監督の映画化を後押ししたひとりで、かつて室井さんの近所にもおばば同様に迫力ある女性がいたのだとか。

家を支える、いとの姑役の夏木マリや、“おかか”仲間の鈴木砂羽、舞羽美海、冨樫真らの熱演も光る中、悩み多き母たちを見て育つ子どもたちの相談役となる私塾の先生役の工藤遥も鮮烈な印象を残している。

『大コメ騒動』(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
『大コメ騒動』劇場を調べる
『大コメ騒動』は2021年1月1日(金)より富山県にて先行公開、1月8日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。
《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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