【映画と仕事 vol.5 前編】29歳で仕事を辞めて渡米! 現地でゼロから学んだ日本人がハリウッドの映画ポスターデザイナーになるまで

映画の世界に携わる人たちにお仕事の内容について根掘り葉掘り聞く「映画お仕事図鑑」。連載第6回目となる今回、ご登場いただくのは、海を渡りハリウッドで映画のポスターのデザイナーとして活躍されている暁恵ダニロウィッチさん。

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暁恵ダニロウィッチさん
  • 暁恵ダニロウィッチさん
  • アイデアはノートにラフ案を鉛筆書きしてから、フォトショに取り掛かります。
  • MAC上での作業はタブレットを使います。
  • 現在の職場の家のルーフトップから。青い空は頭がいっぱいいっぱいになったときに癒してくれます。
映画の世界に携わる人たちにお仕事の内容について根掘り葉掘り聞く「映画お仕事図鑑」。連載第6回目となる今回、ご登場いただくのは、海を渡りハリウッドで映画のポスターのデザイナーとして活躍されている暁恵ダニロウィッチさん。

29歳で単身、アメリカに渡り現地でグラフィックデザインを学び、いくつかの会社を経て、現在は「GRAVILLIS」という映画・テレビの広告デザイン会社に勤務している暁恵さん。ハリウッドでの職歴はすでに15年近くになり、現地で結婚もされて、現在は新型コロナウイルスの影響もあり、ロサンゼルスの自宅でお仕事をされています。そんな彼女にリモートインタビューで話を伺いました。暁恵さん曰く「ハリウッドの映画の世界で日本人が活躍する余地はたくさんある」とのこと。ハリウッドで仕事をしたいと考えている人はもちろん、新しく何かを始めたいと思っている人は暁恵さんの言葉、行動力に背中を押してもらえるはず!

帰国子女→広告代理店勤務…順風満帆に見える人生の中でわき起こった「本当にやりたいことは?」という問い


――29歳で渡米されたということですが、そこに至るまでの経緯について教えてください。

子どもの頃は、父の仕事の関係でアメリカと日本を行ったり来たりするような生活を送っていました。高校時代をミシガン州で過ごしたので、帰国子女ということで日本で大学にもすんなり入学できて、就職活動でもわりとスムーズに内定をもらって、25歳で広告代理店で働き始めました。

環境が自分を運んでくれたというか、なんとなく、世の中をうまく渡っていたんですけど、ある時、「自分が本当に何がやりたいのか?」がわからなくなってしまったんです。そこでようやく自分の人生について真面目に考え始めたんですけど、そんな時、広告代理店でクリエイティブ系の部署の人とお仕事をしたことで、グラフィックデザインに興味を持ちました。

とはいえ、会社ではずっと営業だったので、いまからグラフィックデザインを学ぶことなんてできるのかな? という思いもありました。同時に、自分はせっかくアメリカで長く過ごしてきたのに、その経験を活かしきれていないということにも気づいて、もう一度、アメリカに行って自分のやりたいことを勉強しようと思い立ったんです。それが29歳の時です。

――アメリカで過ごした経験があるとはいえ、29歳にしての大きな決断ですね。

そうなんです(笑)。どこに行ったらいいのか? と考えた時、ハリウッドのあるロサンゼルスならエンターテインメントの仕事ができるんじゃないかと考えて「絶対にグラフィックデザインの仕事をやってやろう!」と、まずはロサンゼルスに飛びました。グラフィックデザインの勉強をする学校の中では比較的学費の安いUCLA Extension(カリフォルニア大学 ロサンゼルス校附属エクステンション)のサーティフィケートプログラムというのがあるんです。通常のアートスクールは学費がすごく高いんですが、UCLA Extensionは、仕事をしながら学びたい人、転職のために手に職をつけたい人が勉強できる学校で、夜間コースなどもあります。私はUCLA Extensionのデザインコースに2年間通い、修了証を取得しました。

現在の職場の家のルーフトップから。青い空は頭がいっぱいいっぱいになったときに癒してくれます。
――グラフィックデザインに関しては、そこでほぼゼロから勉強を始めたということですか?

そうですね。日本でグラフィックデザインに興味を持ち始めてからは、自分でPhotoshop(※画像編集ソフト)などを使って、友人の名刺のデザインをさせてもらったりはしていましたが、せいぜいそれくらいで、以前にデザインについて学んだことも全くなかったです。

――カリフォルニアでエンターテインメントの仕事をしようと考えたということは、以前からハリウッド映画や海外ドラマが好きで、親しみを覚えていたということでしょうか?

それがすごく不思議なんですけど(笑)、私自身、小さい頃から洋画が大好きで…というタイプの人間でもなかったんですよね。大好きなスターがいたわけでもないし。ただ、エンターテインメントそのものというか、人々を楽しませる“メディア”には興味がありましたね。

もうひとつ、渡米後の話ですが、映画のポスターデザインをやろうと思うきっかけとなった出来事があって、学校にポスターデザインをやってるUCLA extensionの卒業生が講演に来たことがあったんです。大手の映画・TVの広告デザイン会社で働く若い女性で、彼女から映画のポスターデザインの仕事について話を聞く機会があり、その時、この業界に魅力を感じ、自分で調べ始めました。その時に使ったのがIMP Awardsというサイトです。

IMP Awards http://www.impawards.com

業界で働いている人や映画のポスターデザインに興味のある人には必須のサイトです。新しい映画やテレビ、オンラインストリーミングのポスターデザインが毎日アップデイトされています。仕事の募集も出てますが、デザイン会社も全て出ているので、どの会社がどのポスターをデザインしたかをすぐに調べることができます。このサイトのDesignersをクリックするとアメリカはもちろん世界のエンターテインメントのデザイン会社のリストも見ることができます。

調べてみると、ハリウッドだけでポスターのデザインをする会社って数え切れないほどあるんですよ。そんなにあるんだったら絶対にどこか自分も仕事させてもらえるところが見つかるはずだ! と思って、リストにあった会社100社以上にメールを書いて、郵送でポートフォリオも送りました。そうしたらいくつか「面接に来てください」と連絡がありました。

ただ、実際に面接に行っても、就労ビザが必要な旨を説明すると必ずそこがネックになって、採用に至らないんですね。結局、会社の数は多いけど、それぞれの会社がそこまで規模が大きいわけでもなく、余裕もないのでビザを出してまで外国人を採ろうと思わないんですよね。

《text:Naoki Kurozu》

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