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これは誰にでも起こりうる“私たちの物語” 犬山紙子が語る、『明日の食卓』が私たちに問いかけるものとは

犬山紙子が語る、映画『明日の食卓』。

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これは誰にでも起こりうる“私たちの物語” 犬山紙子が語る、『明日の食卓』が私たちに問いかけるものとは
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  • 『明日の食卓』(C)2021「明日の食卓」製作委員会
  • 『明日の食卓』(C)2021「明日の食卓」製作委員会
  • 『明日の食卓』(C)2021「明日の食卓」製作委員会
5月28日から全国ロードショーの『明日の食卓』は、椰月美智子による同名の小説『明日の食卓』(KADOKAWA/角川書店)が原作。同じ“石橋ユウ”という名前の10歳の男の子を持つ3人の母親が、幸せな家庭を築きながらも、子育ての難しさ、仕事との両立、夫の無理解などに苦しみもがきながら、日々を精一杯生きる姿を菅野美穂さん、高畑充希さん、尾野真千子さんが熱演。子育てママなら誰もが経験したことのあるリアルなエピソードの数々には共感する人も多いだろう。一方で、誰でも一歩間違えば、子どもに手をかけてしまう、そんな危うさにも気づかされる。

「#こどものいのちはこどものもの」という虐待防止チームを結成し、児童虐待問題への啓発活動に取り組まれている犬山紙子さんは、『明日の食卓』をどう観たのか。作品の見どころや共感したシーンなどについて語っていただいた。


一歩間違えれば自分もそうなってしまうかも……
私たちはそんな危うさの中を生きている



――ワンオペ育児、ダメ夫、シングルマザー、貧困、いじめ、嫁姑問題など、子育てママが今まさに直面している問題がてんこ盛りの作品で、いろいろ感じるところがあったのではないかと思うのですが、『明日の食卓』について、犬山さんの率直なご感想をいただけますでしょうか。

一番に感じたことは「これは私たちの物語である」ということです。描かれているシーンがリアルで、共感するところがたくさんありました。

3人の母親たちは、みな子どもを愛し、精一杯生きている。だけど一方で、思うようにならないことへのいら立ちや葛藤、もやもやした気持ち、孤立感を抱えている。知らず知らずのうちに、そして小さなことが積み重なってだんだんと追い詰められていく母親の姿に、「これ、私のことだ」と思わず感情移入してしまう人は多いのではないでしょうか。

――『明日の食卓』は、フリーライターとして働きながら2人の子どもを育てる留美子(菅野美穂)、シングルマザーとしてアルバイトをかけもちしながら子どもを育てる加奈(高畑充希)、裕福だけどどこか満たされていない主婦のあすみ(尾野真千子)が登場します。3人のうち、どの母親に一番感情移入しましたか?

『明日の食卓』(C)2021「明日の食卓」製作委員会
どの母親にも共感する部分はありましたが、中でも留美子が、スーパーで騒ぐ自分の子どもを大声で叱って、周囲の人から冷たい目で見られるシーンが自分と重なりましたね。たとえば電車の中で子どもが大泣きしたときに、「いったい親は何をしているんだ」とでも言うような、周囲の人からの冷たい目。そういう社会の冷たさが母親を追い詰めていると思います。

――犬山さんは、「#こどものいのちはこどものもの」というチームを作って、児童虐待を世の中からなくすための活動をされています。『明日の食卓』は、その活動と通じるものもあったのではないでしょうか。

「#こどものいのちはこどものもの」の活動を始めたのは、児童虐待によって命を亡くす子どもをこれ以上増やしたくない、このまま見ないふりはできない、じゃないと自分を嫌いになりそうだと思ったからです。自分のためでもあります。活動の中で、たくさんの人たちに話を聞いて感じたのは、児童虐待をする親って「元々子どもを虐待しようとしているとんでもなくひどい親」、とうよりは、実際は私たちとそんなに変わらない普通の人が追い詰められた結果であることです。


だれだって環境だったり、孤立だったり、何かのきっかけで自分がそうなってしまうかもしれない。そういう危うさを持っているんですよね。まさにこの映画の根底にあるメッセージそのものだと思います。

目を背けるのではなく、
何が問題なのかを突き詰めることが解決の糸口に



――解決の糸口はどこにあるのでしょうか。

まず、気付くことが大事だと思うんです。「児童虐待なんて自分に関係ない」「こんなひどい事件、見たくもない」と目を背けていては、児童虐待はなくなりません。どうしてこんなことが起こるのか、何が問題なのだろう、どうすればいいのだろうと考えることが解決の糸口になると思います。

この映画は、「母親たちが何に追い詰められているのか」「何が母親を苦しめているのか」をみんなが考える、良いきっかけになるのではないでしょうか。

――「母親を追い詰める」存在として、家事育児に真剣にコミットしない夫もリアルに描かれていますよね。

「あるある」オンパレードですよね(笑)。残念なことに、未だにこの映画に出てくるような男尊女卑の考え方から抜けきれない男性は少なくないと思います。もちろんそうでない人もたくさんいますが。

『明日の食卓』(C)2021「明日の食卓」製作委員会
留美子の夫は、外面(そとづら)はいいけれど、家では忙しい妻を手伝わず、ライターとしてがんばっている妻に「お前程度のライターなんていくらでも代わりがいるけど、お母さんの代わりはいない」と言い放つ。「は?父親はどうなの?」と言いたくなりますよね。
お酒を飲んで暴力を振るう夫から、留美子が身を挺して子どもを守るシーン、夫に「出ていって!」と叫ぶシーンは、思わず「よく言った!」と拍手したくなりました。虐待とDVが密接な関係である、という点でもリアリティがあるなと感じました。

でも、実は夫の方も仕事がうまくいかなかったり、いろいろ問題を抱えている。そこもきちんと描かれているのは大事なポイントだと思います。

『明日の食卓』(C)2021「明日の食卓」製作委員会
加奈は、シングルマザーですが、おそらく養育費をもらっていない。朝晩、バイトを掛けもちして低賃金でぎりぎりの生活をし、しかも不景気で突然解雇されてしまう。現実でも、養育費をもらえていないシングルマザーはとても多いですし、コロナ禍で仕事を失った人も多い。身につまされる話です。こんなに母親一人でがんばらなければいけない社会はおかしい。加奈には、「一人でそんなにがんばらないで、もっと社会に助けを求めていいんだよ。私たちにはその権利があるんだよ」と伝えたいですね。

『明日の食卓』(C)2021「明日の食卓」製作委員会
あすみは裕福な家庭の主婦で一見何の問題もないように見えますが、夫は「家事や子育ては女性の仕事」という意識が強く、あすみは対等に扱われていない。そしてあすみ自身もそんな扱いに疑問をもつことなく当たり前に受け入れている。そういう、無意識のうちに刷り込まれた男尊女卑の意識を男女共変えていく必要がある、この映画からそのメッセージも受け取れます。

大切なのは孤立しないこと、社会とつながること、
そして、SOSを出せること



――母親たちは、それぞれの苦しみにどう対処していけばいいのでしょうか。

一人で抱え込まないこと。そのためには孤立しないことだと思います。まずは、夫や友人など、身近な信頼できる人を味方にすることが大事です。

私は親の介護をした経験があり、社会から切り離される孤立感、焦り、追い詰められていく感じがありました。その経験があったので、子どもを産むときには、孤立しないよう夫とコミュニケーションを密にしました。出産前から、生理や妊娠、出産による女性の心や体の変化、出産後の生活の大変さなどを丁寧に話し、夫も勉強をたくさんして。夫は一番の味方であり対等な戦友となりました。

傾聴してくれる友人や、SNSなどで価値観の合う仲間を見つけるのもいいと思います。また、児童相談所や自治体のサービスなどの情報を知って、もっと利用するのも大切です。

日本人は、SOSを出すのが苦手で、自己責任感が強く、辛くても「私ががまんすればまるくおさまる」と考えがち。でも、私さえがまんすればの先は孤立なのです。辛いときはSOSを出せることも、大切な生きる知恵だと思います。


―-最後に、「明日の食卓」のおすすめのポイントをお願いします。

女性には、「ちょっとしんどいけど、自分がなぜもやもやしているのか、何が辛いのか、これからどうすればいいのか、一歩先の未来を考えるヒントが得られるよ」と言いたいですね。いろいろなとらえ方、感じ方があると思うので、観たらぜひ、感想を話し合いたいです!

そして男性にも、女性が何に苦しんでいるのかを理解するためにもぜひ見てほしいです。男女問わず、自分では「男尊女卑の意識はない」と思っている人も、自分の中のアンコンシャスバイヤス(無意識の偏見)に気づくかもしれません。でも、気づくことが第一歩。みんなでそういう意識を変えていくことができれば、女性だけでなく、男性も生きやすい社会になると思います。



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【PROFILE】
犬山紙子
1981年、大阪府出身。
仙台のファッションカルチャー誌の編集者を経て、家庭の事情で退職し上京。東京で6年間のニート生活を送ることに。
そこで飲み歩くうちに出会った女友達の恋愛模様をイラストとエッセイで書き始めるたところネット上で話題になり、マガジンハウスからブログ本を出版しデビュー。現在はTV、ラジオ、雑誌、Webなどで粛々と活動中。

2014年に結婚、2017年に第一子となる長女を出産してから、児童虐待問題に声を上げるタレントチーム「こどものいのちはこどものもの」の立ち上げ、社会的養護を必要とするこどもたちにクラウドファンディングで支援を届けるプログラム「こどもギフト」メンバーとしても活動中。

近著に「すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある」(扶桑社)がある。


<提供:KADOKAWA>
《シネマカフェ編集部》

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