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フランソワ・オゾンに見出された仏映画界の2人の新星に注目!『Summer of 85』

フランソワ・オゾン監督は最新作『Summer of 85』のキャスティングを重要視して脚本完成前からオーディションを開始、フェリックス・ルフェーヴルとバンジャマン・ヴォワザンという2人の原石を見出した。

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『Summer of 85』(C)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
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世界三大映画祭の常連であるフランソワ・オゾン監督の最新作『Summer of 85』が、8月20日(金)より全国公開。

英作家エイダン・チェンバーズによる青春小説「Dance on my Grave」(おれの墓で踊れ/徳間書店)を原作に、フランスの海辺の町で運命的に出会った2人の少年の美しくも儚い初恋を描いた本作で、キャスティングを重要視したオゾン監督は脚本が完成する前からオーディションを開始、フェリックス・ルフェーヴルとバンジャマン・ヴォワザンという2人の原石を見出した。

>>『Summer of 85』あらすじ&キャストはこちらから

「リヴァー・フェニックスのよう」期待の新星、フェリックス・ルフェーヴル


『Summer of 85』(C)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
17歳で原作小説と出会って以来、映画化を熱望していたオゾンにとって、主人公のアレックスを演じるキャストは適役を見つけられなければ映画製作そのものを諦めようとしていたほど重要な存在。そんな中、オゾンに「これぞアレックスだ」と言わしめ、主演に抜擢されたのがフェリックス・ルフェーヴルだ。

本作の主人公アレックスは、進路に悩むシャイな高校生。アグレッシブで刹那的な生き方をしているダヴィドと運命的な出会いを果たし、ひと夏の間に初めての恋と永遠の別れを経験することになる。そんなアレックスを演じたのは、TVドラマシリーズ「ル・シャレー 離された13人」(18/Netflix)、映画『スクールズ・アウト』(18)などへの出演歴はあるものの、ほぼ無名の新人であったルフェーヴル。

「童顔で笑顔も子供のように愛くるしくて、生命感に溢れている。それでいて目にはどこか哀愁があり、80年代人気だったリヴァー・フェニックスの雰囲気がある」とオゾンにひと目見て絶賛され、オーディションから大抜擢された。

実は、ルフェーヴルはキャスティングディレクターによるアレックス役のオーディションに臨んだものの、その場で渡されたシーン以外は何も情報もなく、アレックスが主役だということも知らなかった。それでも、オゾンに主役をできるかと訊かれたときには迷わず飛び込んだ。「もし1年か2年前の僕だったらちょっと戸惑ったでしょうね。だけど僕ももう大人になっていたし、『自分のやりたいことをやる、絶対に尻込みはしない』と、ずっと前に決めていたので、問題はありませんでしたよ」。

『Summer of 85』(C)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
その後、見事に主役の座を射止めたルフェーヴルは、脚本を読み「よく練られた、美しいドラマだなあ」と感じたとふり返る。「出会った頃のぎこちなさ、歩み寄り、初恋、成長、自己の解放……アレックスは人生の大事なことを一夏で経験します。経験した喜びと悲しみから、人生を前進させる力をもらい、成長していく」と読み解き、役作りに臨んだようだ。

役作りでは、オゾン監督がアレックスのキャラクターの参考にしたというJ.D.サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」を読んだり、『ラ・ブーム』(1980)、『スタンド・バイ・ミー』(1987)といった80年代当時のヒット映画を徹底的にリサーチ。「のちに作家になるアレックスには知性があります。飲み込みも早く役に対して意欲的だったフェリックスなら、その信ぴょう性を醸し出せると思いました」という監督の予想通り、知的なアプローチでアレックスのイメージを完成させていったルフェーヴル。役を演じることでひと皮剥けていく自分自身と重ね合わせて、内気な少年が人生を揺るがすほどの初恋とその喪失を経て成長していく様を全身全霊で表現した。

『Summer of 85』(C)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
海外でも公開後、「フェリックス・ルフェーヴルに心を奪われた」「完璧な美しさだ」とその知性を秘めた存在感が注目を集め、ダヴィド役のバンジャマン・ヴォワザンと共に、第46回セザール賞で有望若手男優賞にノミネート。「ロマンティックな作品の祭典」といわれるカブール映画祭でも新人男優賞を受賞している。

「2021年注目の新人」に選出、危険な香り漂うバンジャマン・ヴォワザン


『Summer of 85』(C)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
一方、ルフェーヴル演じる主人公・アレックスが恋に落ちる、自然体で自信に満ちた少年・ダヴィド役に抜擢されたバンジャマン・ヴォワザンは、ジュリエット・ビノシュ、イザベル・ユペールらを輩出したフランス国立高等演劇学校出身で、俳優だけでなく脚本家としても活動する、フランス映画界きっての若手注目株。

フランスを代表する2大俳優カトリーヌ・ドヌーブとジェラール・ドパルデューが共演したコメディドラマ『ホテル・ファデットへようこそ』(17)や、アイルランドの作家オスカー・ワイルドの知られざる晩年を描いた伝記ドラマ『さすらいの人 オスカー・ワイルド』(18)などに出演。

近年では、ユニフランスが発表した「2021年注目の新人10人」に選出。今後は、第51回カンヌ映画祭で短編パルム・ドール受賞のグザヴィエ・ジャノリ監督作で、グザヴィエ・ドランら並び主要キャストとして出演する『Comedie humaine』(21)や、『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルランが監督を務める『Le bal des folles』(いずれも原題)など注目作が待機しており、まさに今後の活躍に期待が高まる俳優だ。

『Summer of 85』(C)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
そんな彼が本作で演じたのは、純朴な16歳のアレックスとは真逆の魅力を持つ、自由奔放で常に自信に満ち溢れている18歳の少年ダヴィド。颯爽とバイクを乗り回し、ヨットの操縦も得意なダヴィドが放つ、野生動物のような荒々しさとカリスマ性にアレックスは魅了され、次第に2人は深い関係で結ばれていく。しかし、そんな幸せな日々も長くは続かなかった。愛すれば愛するほどに湧き上がる“満たされない気持ち”。「ほんの一瞬も離れたくない」と願うアレックスを待ち受けていたのは、ダヴィドとの突然の別れだった――。

これまでの作品では、か弱くてシャイな役ばかりを演じてきたヴォワザンだったが、本作では短期間で筋肉を厚くするハードなトレーニングに挑戦。身体を鍛え上げ、ワイルドなダヴィドのイメージを作り上げた。さらに、父親を亡くし、学校に通わず母親が切り盛りする船具店で働いているダヴィドは、人生を謳歌していながら、どこか生き急いでいるような刹那的な雰囲気が漂う一面もある。

『Summer of 85』(C)2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
「(オーディション合格から)数週間は、はっきりとダヴィドという人物が分かりませんでした」と明かすヴォワザンは、オゾン監督と何度も話す中で“ダヴィド像”を掴めたという。「僕が目指すのは、サソリになることだと分かりました。『いい奴そうじゃないか』と思ってちょっと顔を上げてみたら、しっぽが見えて今にも襲い掛かろうとしている。最初にチラっと笑う瞬間から危険な匂いをまとっていなきゃいけない。どこか破壊的な一面を感じさせるためにね」と語っており、観る者をたちまち魅了する、甘いマスクの奥に潜んだ危うさを見事に自分のものにしている。

『Summer of 85』は8月20日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。
《シネマカフェ編集部》

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