【対談】SSFF&ASIA「バイオジェン・アワード」が照らす社会の可能性、別所哲也×アジェイ・スレイク

来年度の「バイオジェン・アワード」の公募開始を前に、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA) 代表の別所哲也とバイオジェン・ジャパン株式会社のアジェイ・スレイク代表取締役社長の対談が実現!

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アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)は昨年、新たに「バイオジェン・アワード」を設立。バイオジェン・ジャパン株式会社は、最先端の医学と科学を通じて神経疾患の治療法の発見、開発を行なっており「バイオジェン・アワード」は、同社が掲げる「Make Impossible Possible(不可能を、可能に)」というビジョンを力強く伝える作品に授与される。

さらにSSFF & ASIAとバイオジェン・ジャパン株式会社は共同で、神経難病の脊髄性筋萎縮症(SMA)をテーマにしたショートフィルム「Bon Voyage ボン・ボヤージ - SMAの勇者、ここに誕生」、「GIFT(ギフト)」という2つの作品を制作した。

来年度の「バイオジェン・アワード」候補となる、SSFF & ASIA 2022の公募開始にあわせ、SSFF & ASIA代表の別所哲也とバイオジェン・ジャパン株式会社のアジェイ・スレイク代表取締役社長の対談が実現! 共同制作ムービーが、SMA患者さんの早期診断につながったという事実やショートフィルムの未来への可能性について語り合った。

受賞作品に共通するのは「パッション」「相手を思いやる心」



――2020年の映画祭より始まった「バイオジェン・アワード」の設立の経緯、なぜバイオジェン・ジャパンがショートフィルムを支援するのかといった背景について教えてください。

スレイク:バイオジェンは創業以来、神経難病と生きる方々に寄り添い、彼らの人生を変えるような医薬品の開発を目指してきました。患者さんが前向きに治療に取り組んでいただくためには治療薬だけでなく精神的な支えも必要です。映画は気持ちを前向きにすることができる優れた表現方法だと思っています。このアワードにより、私たちが掲げる「不可能を可能に」というビジョンと同じメッセージを伝えようとするショートムービー、そうした作品を制作する監督を応援したいと考えました。

別所:ショートフィルムの映画祭を開催する中で、俳優としても映画祭の運営者としても、映画というのは人を勇気づけたり元気にしたり、希望を見出したり、悩みに対してソリューションを提示できたり、いろんなメッセージを運ぶことができるんだなということを感じていました。

そこで近年、生まれたひとつの潮流が「Branded Shorts」という企業が、映画の中でコマーシャルや広告とは違う形で自分たちのミッション、プロダクトやサービスについて伝えるということでした。

そんななかで、バイオジェンさんとの出会いがあって、映画作品を一緒に作るというプロジェクトも行ないましたが、同時に映画祭に集まってくる作品にある「チャレンジ」、「希望」といった前向きなエネルギーが人を豊かにするものだという部分で、深いところでのミッションのつながりを感じまして、それがこのアワードの設立にもつながっています。

――2020年は、難病を抱える友人を助けようとするクラスメイトたちの奮闘を描いたシンガポールの作品「最後の試験」が、今年は障害を抱えながらも美容師になるという夢を持った青年と彼の夢を何とか実現させようとする妹の姿を描いた「階段」が受賞しました。それぞれの作品の印象、受賞理由について教えてください。

スレイク:昨年の「最後の試験」と今年の「階段」、この2つの作品に共通しているのは、何かを達成しようとする強い気持ち――パッションと共に、相手を思いやる心でした。相手を思いやるからこそ、強い気持ちになれる、不可能を可能にできる、つながっていけるということを体現した作品だと思います。そしてそれこそが、バイオジェンのビジョンであると考えています。

SSFF & ASIA 2021 バイオジェン・アワード受賞「階段」
監督:Zoljargal Purevdash/12:03 / モンゴル / ドラマ / 2019
2021年10月31日までブリリア ショートショートシアター オンラインで公開中

「階段」に関しては、お兄ちゃんの「美容師になりたい」という強い気持ちに対し、妹が強いパッションをもって、兄の夢を自分の夢のように感じている部分。特に美容学校の初めての授業に向かうシーンでは、階段があって車いすでは上にあがれない。でもそこで、不可能を可能にするというパッション、絶対に実現するんだという強い気持ちを持っていて、彼らはあきらめないですよね。それはすごく感動的でした。

「階段」ブリリア ショートショートシアター オンラインで公開中

――「最後の試験」の子どもたちのやりとりや心情にも心打たれました。

スレイク:本当におっしゃる通りで、子どもたちの非常にピュアな気持ちが、そのまま表情に出ていて、大人が時に忘れてしまいがちな瞬間――心と表情とつながるところが素晴らしくて感動しました。我々の社員一同、みんなこの作品を観て泣いていました。

SSFF & ASIA 2020 バイオジェン・アワード受賞「最後の試験」
監督:Kai Xiang Chang/13:03/シンガポール/ドラマ/2019

別所それぞれ国は違っても人を思いやる気持ち、助け合う気持ちは変わらないというのを強く感じました。人生におけるdifficulty(=困難、様々な壁)を乗り越えるというのは、障がいを抱えている方だけでなく、みんなどこかで直面することだと思います。そうした時にどのように乗り越えるのか? どんな仲間が必要なのか? 子どもたちの演技に、大人になった俳優として勉強させてもらいましたし、彼らが素朴にカメラの前で演じる姿と共に描き出されるそれぞれの国の情景、価値観は日本を含め世界中にあるものだと思いますが、それを乗り越えていく力がみなぎっているのを感じました。

シンガポールの「最後の試験」は子どもたちが鬼ごっこをするシーンも大好きですし、親と子どもの関係、お父さんとお母さんの関係も「あぁ、わかるな」というところもありますよね。教育熱心な母親と「頑張ったらご褒美を買ってやるぞ」という父親がいて…というのもわかりますし(笑)。ああいう構図も、万国共通と言うと大げさですけど、自分が子どもの頃に感じた思いがよみがえったりもしました。

試験勉強を通じてチームワークを持つという部分は、モンゴルの「階段」とも共通していて、夢をかなえるため、Dream Chaser(=夢を追いかける人)がいたら、その人の夢を自分の夢のように受け止めてサポートしてくれる人が現れて、みんなの情熱みたいなものがひとつになっていく姿がそれぞれの作品で描かれていますよね。

「階段」
国ごとに生活の違いなどもありますが、究極のエッセンスとして「きょうだい愛」であったり「友だちに対する思い」だったり、どの国の人も持っている思いが広がっているなと感じました。

僕が好きなアフリカのことわざで、映画祭をやる上でも大切にしている言葉があって「If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together. 」というのですが、「早く行きたいのであればひとりで行きなさい。遠くに行きたいならみんなで行きなさい」という意味ですね。この2つの作品も、夢を追いかけて遠くに行きたいなら仲間を作ることが大切だということを体現している作品だなと感じました。

スレイク:別所さんの素晴らしい洞察を共有していただきまして感動しています。別所さんの言葉を聞きながら、私もある言葉を思い出しました。“The longest journey in life one can take is only 18 inches long. It is from your head to your heart.”「人生における最も長い旅は、頭から心までのたった18インチしかない」という意味ですね。人間は頭ばかりを使って生きてしまい、大人になっていくほど、その傾向が強くなってしまうけど、心で生きていくことが大切なんだと。

この作品を通して、人間は頭と心の両方が必要なんだということを感じました。心がパッションを出してくれる一方で、頭が「どうやったらこの階段を乗り越えたらいいか?」を考える。ハートとマインドの両方のプレイが必要であるし、それは人間としてユニバーサルなものなんだなと思います。

別所:おっしゃる通り、頭で理解するだけでなくハートに来る2作品だったと思います。

SSFF & ASIS 2021 バイオジェン・アワード受賞作品「階段」のZoljargal Purevdash監督からのコメント

映画は「“見えない”世界を見えるものにする」


――SSFF & ASIAとバイオジェン・ジャパンは共同でショートフィルム「Bon Voyage ~SMAの勇者、ここに誕生~」「GIFT(ギフト)」を制作しています。脊髄性筋萎縮症(SMA)をテーマにしたこの2作の制作の経緯と配信開始後の反響について教えてください。


スレイク:SMAの日本での患者数は約1600名ですが、自分がSMAであることに気づいていない方も多くいらっしゃいます。SMAという病名が付いてから、10年ほど治療法がなかったのですが、4年前にようやく弊社のスピンラザという治療薬が承認されました。そして現在ではほかにも2つの薬が承認されています。

まだ自分がSMAだと気づいていない方に早く気づいていただくこと。病気であっても目標に向かって生きられるということを伝えたいと思い、この映画を作りました。

啓発活動としてショートフィルムによってまずは病気を知ってもらい、治療につなげていただけたら幸いです。加えて、患者さん本人だけでなく周りの家族や友だち、一緒に仕事をする仲間といった人たちにも「SMAとはこういう病気で、患者さんはこんな思いを抱いているんです」ということを知っていただき、それに対して周囲がどういうふうに接したらいいのか?ということも理解してもらいたいという狙いがあります。


「GIFT(ギフト)」ー脊髄性筋萎縮症(SMA)ショートムービー
監督:川上 信也 /16:01 /日本/ドラマ/2020
【出演】西田尚美 /夙川 アトム/北原 十希明/宮内 月煌


配信後の実際の反響に関しましても、非常にポジティブなフィードバックを数多くいただいています。SMAについて知らなかったある方は「Bon Voyage」を見て、ご自身の娘さんの病気がSMAではないかと思い、検査を行なった結果、SMAだったと判明したというケースもありました。

また医師やナースといった医療関係者の方々からも、バイオジェンがこうした取り組みを行っていることに対して、感謝の言葉をいただいています。

ショートフィルムというのは本当に優れたツールであると感じていますし、私たちが携わっている様々な神経疾患の病気に関して、治療薬がなかったり、あったとしても十分ではないという状況の中で、患者さんやご家族がどのような思いでいて、どんな困難を抱えているのか? ということを理解し、みなさんのお力を借りながらその解決にちょっとでも役立てることができればという思いです。

別所:映画が持っている力はいろいろあると思いますが、まさにこの作品は“気づき”というものをもたらしてくれたと感じています。

「Bon Voyage ~SMAの勇者、ここに誕生~」
監督:三ツ橋勇二 /15:44 / 日本/ドラマ/2019(2020年までの限定公開)

僕らがこの映画を製作するにあたって意識したのは、実際に苦しんでいらっしゃる患者さんがいて、彼らを取り巻く家族、医療従事者といった、一緒に苦しみながら戦っている方たちがいるという現実があるということです。

難病であり、なかなか周囲の理解も得られない状況、本人さえも自分がその病気であるかがわかっていないといった状況もあり、“見えない”世界を映画というツールを通じて見えるものにする、おこがましい言い方ですが、物語という形でそのお手伝いをすることができればという思いで携わらせていただきました。

もちろん、どんな作品であっても映画を作る上で常に緊張感をもって臨んでいますが、特に“命”に関わるテーマですから、非常に身の引き締まる思いでしたね。

映画関係者という意味では、フィルムメーカーや映画祭関係者といった映画好きのみなさんからも、純粋に映画として、家族の絆、人々のドラマが見えてきたということで非常に大きな反響をいただきました。映画として完成度の高い作品になっているという点で手応えを感じることができて、嬉しく思っていますし、これから長く、多くの人に観ていただければと思います。

“いま”を映す短編映画は未来への予想地図


――改めて、お二人が考えるショートフィルムの可能性についてお聞かせください。

SSFF & ASIA 2021 アワードセレモニー
SSFF & ASIA 代表 別所哲也 とバイオジェン・ジャパン株式会社 アジェイ・スレイク代表取締役社長

スレイク:いまもお話に出てきましたが、映像は人々の心を動かすことができる本当に素晴らしいツールだと思います。私たちが向き合っている難病の患者さんはもちろんのこと、世界中の多くの方々が、様々な状況で難題やつらさを抱えて生きていらっしゃると思います。だからこそ、そんなみなさんの気持ちを鼓舞し、前向きに歩んでいけるようなパッションと思いやりのあふれる作品をこれからも期待していきたいなと思っています。

別所:23年にわたって映画のお祭りをやってきましたが、映画というものはショートフィルムからスタートして、技術的な進化を遂げてきたわけですが、インターネットの時代になってつくづく感じるのは、短編映画は時代を映し出すだけでなく、時代を超えて普遍的であるものも映してくれる存在だということです。

僕は「燃費の良い映画」という言い方をすることがありますが、大きなビルを3年、5年、10年の構想期間を経て作り上げていくこともすごく重要なことだと思いますが、そこにはたくさんのチームプレイや資金も必要です。短編映画の場合、“いま”起きていることを今年、来年映し出していくというフットワークの軽さがあります。それは決して、未来において必要のないものという意味ではなくて、普遍的に人間がどう行動すべきかという規範、価値観といったものを見せてくれるものだと確信しています。

同時に映像の“未来地図”を映し出す存在でもあり、テクノロジーのいまを見ることができる場所であり、いま私たちがバイオジェンさんと取り組んだ作品を、10年後に観たとき、「あぁ、当時はあの難病があったけど人類はそれを克服した」というエビデンスにもなりえます。またアワードを受賞した作品に関しても、例えば「階段」はモンゴルのいまを映し出していますが、10年後のモンゴルは階段で苦労するようなところではない、優しいコミュニティになっているかもしれない。この作品が、いま存在して、未来へのアセット(資産)、ギフトを渡すことができたら非常に大きな意味があると思っています。

そんな思いで“いま”を映し続けながら、未来への予想地図、遺産を作っていけたらと思います。

――8月1日から来年のSSFF & ASIAのバイオジェン・アワードの公募が開始されます。どのような作品を期待されているのか? 応募者にエールをお願いします。

スレイク:バイオジェン・アワードとして、思いやり、病気に対する啓発活動の志をもっと高く持ってやっていこうと思っています。ショートフィルムにはいろいろなニーズがあると感じていますが、場合によってはそれは“見えない”ニーズでもあり、幅が広いものだと思います。その見えないニーズに応えるために、私たちはメッセージ性をもって社会がよりベターな方向に向かうための架け橋となれたらいいなと思っています。

だからこそ、我々も狭い視野で可能性を見ているわけではありません。幅広い作品、クリエイターにチャンスがあると思います。SSFF & ASIAと一緒にこれからも歩みを進めていけたらと思っています。

SSFF & ASIA 2021アワードセレモニーでバイオジェン・アワードを発表するアンジェイ・スレイク氏
別所:ぜひこのジャーニーを共に続けていきましょう! 8月1日から公募がはじまりますが、僕は映画は「better life」そして自分では体験できない「another life」を映し出してくれるものだと思っています。応募していただける方は、自分が感じるbetter life、another lifeをどんどん形にしてチャレンジしてほしいと思いますし、その中にきらりと光る作品が必ずあって、来年のバイオジェン・アワードに輝いてると思うので、期待しています!

SSFF & ASIA 2021バイオジェン・アワード受賞作品「階段」は2021年10月31日まで
ブリリアショートショートシアターオンラインで無料配信中 
URL:https://sst-online.jp/theater/10429/


SSFF & ASIA 2022に向けた作品募集中 
https://www.shortshorts.org/ja/creators/


<提供:ショートショート実行委員会>
《text:Naoki Kurozu》

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