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中野量太、岨手由貴子ら人気監督を輩出!本年度の「ndjc」選出監督が語る、“映画製作”への思い

「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2021」に選出された4名の若手監督にインタビュー。

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中野量太、岨手由貴子ら人気監督を輩出!本年度の「ndjc」選出監督が語る、“映画製作”への思い
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今年で16年目を迎える「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」は、日本映画振興事業の一環として、文化庁から映像産業振興機構(VIPO)が委託を受け、2006年度からスタートした。各映像関連団体から推薦を受けた映像作家たちが書類による一次審査を通過後、プロデューサーや編集技師、映画監督、脚本家ら講師のもとで行われるワークショップに参加し、5分間の短編制作等を通した最終選考に挑む。最終選考で選出された作家は、脚本指導やプロのスタッフとの製作実地研修を経て、オリジナル脚本の短編映画を完成させ、上映活動までを行う…というプロジェクトだ。

過去には、中野量太、岨手由貴子、松永大司、中江和仁、吉野耕平、ふくだももこ、堀江貴大など、現在劇場公開作品を送り出している監督たちが、本プロジェクトを修了し、映画界に大きく羽ばたいている。さらには本プロジェクトにて誕生した長編映画、池田暁監督『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(2019)と和島香太郎監督『梅切らぬバカ』(2020)は2021年に劇場公開され、高い評価を得た。

2021年度は、49名の応募者のなかから4名の作家が選出され、製作実地研修を経て短編映画を完成させた。2月2日に東京・丸の内TOEIにて行われた合評上映会にて、団塚唯我監督『遠くへいきたいわ』、道本咲希監督『なっちゃんの家族』、藤田直哉監督『LONG-TERM COFFEE BREAK』、竹中貞人監督『少年と戦車』が上映された。各監督に、本プロジェクトに参加したことによって得たことや、今後の創作活動へのモチベーションなどを聞いた。

4名の監督が映画を撮りたいと思ったきっかけは?


テーマや作品テイストがガラリと違う4作品。映像を撮りたいと思ったきっかけもそれぞれだ 。

団塚監督「大学に行かなくなってしまったとき、とにかく映画を観まくっていたのですが、たくさん観ているとつまらない作品も結構あって……。もしかしたら自分でも作れるのかなと思って映画美学校に入学したのがきっかけでした」

団塚唯我監督作品『遠くへいきたいわ』

道本監督「小さいころから漠然と真面目な両親を見ていて、自分は違う人生を歩みたいと思っている子でした。そんななか、映画を観ていると、なにか違うところに自分が行けるような感覚になり、救われた気分になったんです。そこから映画というものを作ってみたいと思いました」

竹中監督「僕は母子家庭の一人っ子で、小さいころから比較的映画を観ているような子でした。自分のなかで人よりも映画をたくさん観ているんだというのがアイデンティティの一つとしてあったのと、あとは自分の特性として、毎日同じところに同じ時間に行くということが得意ではなく、映画の世界では、そういうことがないのかな……なんて、そんな漠然とした思いから興味を持ちました」

藤田監督「僕は高校時代も生徒会に所属していたり、大学に入ってからもイベントなどをみんなで作り上げたりすることが好きでした。映画をちょくちょく観始めるようになったのは大学生になってからなのですが、映像製作もみんなで作り上げるという部分で似ているなと思ったので興味が湧いてきたんです」

藤田直哉監督作品『LONG-TERM COFFEE BREAK』

現場のプロとの製作過程で感じた“映画監督”の仕事


団塚監督は「なら国際映画祭」、道本監督は「ぴあフィルムフェスティバル」、竹中監督は「東京芸術大学大学院映像研究科」、藤田監督は「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」からの推薦を受けて、本プロジェクトに参加した。製作現場のプロとディスカッションを繰り返しながら、企画を膨らませ、映像化していく作業を通じて、どんなことを感じたのだろうか。

団塚監督「比較的若い世代のスタッフさんたちと一緒だったので、大人の人たちに揉まれたという感覚はなかったのですが、みなさんの意見だったり、自由に動いてもらうことで自分の理想を超える面白いものができることが実感できました。そういう機会をいくつか作ることで面白い映画になるということは学べた気がします」

道本監督「私はこれまでスタッフと一緒に映画を作ったことがなかったので、たくさんの方々と一つの作品を作るというのは、すごく刺激的でした。困ったときに意見を聞いて助けてもらえる瞬間が多くあって、それがすごく素敵だなと思いました。とても貴重な時間を経験できたなと感じました」

竹中監督「自主映画を撮っているときは、とにかく無限の選択肢があって、どこまでが監督という仕事の領域なのかをつかめていなかったのです。でも今回参加して、プロの方々とご一緒したことで『映画監督ってちゃんと仕事じゃん』と思えました(笑)。映画作りのなかで、監督の仕事を実感できたのは大きかったですし、この仕事への興味がさらに増しました」

竹中貞人監督作品『少年と戦争』

藤田監督「僕はこの企画に参加して、映画監督にも社会性がメチャクチャ重要だなということを感じました。ビジネススキル的な部分だったり、コミュニケーション能力だったり……。今回は30分の短編映画でしたが、それでも想像以上に多くの人が携わっていました。いろいろな人の意見をくみ取って映画を作るとことが正しいかどうかは分かりませんが、しっかりと考えて決断していくことの大切さは学ぶことができました。責任を負うことを覚悟というなら、それに近いものは感じることができました」

「今後も映画を撮っていきたい」
映画界に踏み込んだ4人の描く未来とは


運営にあたる事務局スタッフは、本プロジェクトの意義について「出来上がった作品を名刺代わりに、自身の可能性を広げて欲しい」と語っていた。作品を作り上げたいま、各監督たちは、どんな未来に思いを馳せているのだろうか。

「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」合評上映会のようす

藤田監督 「今回のプロジェクトで、職業的な監督に必要な適性のようなものを学ぶことができました。製作過程で大変なこともありましたが、楽しく、多くの人の意見を聞くことで、自分のなかではかなり異型な映画を作ることができたと感じています。僕は作家性で売るというよりは、周囲と楽しくモノづくりをすることが好きなので、これからもスタッフ、キャストの方々と楽しい作品をコンスタントに作っていける監督になりたいなと思っています」

竹中監督「今回ndjcに応募する直前まで、映画の世界からちょっと離れようかなと考えていたんです。これまで作品を作って映画祭などで上映していただいても、なかなか次に繋がらなかった。コンペ等から少し離れて、違う道もあるのかなと漠然と考えているなかで、今回のプロジェクトに参加しました。そこまで思い詰めている感じではないのですが、これで最後にしようと思っているなか、こうして映画を完成させることができました。大げさな言い方かもしれませんが、映画の神様みたいなものがいるとしたら、見放されなかったのかなと。今回一番大きな学びとなったのが、きちんと優先順位をつけるということ。それさえ明確に見えてくれば、やっていけるのかなと思いました。だからこそ、いまはまた続けていきたいと思っています」

道本監督「この研修期間に私が映画を撮る理由はなんだろうと考えました。そのとき感じたのが、私は人の気持ちが分からない人間だけれども、映画を撮ることで、分かろうと思えたり、自分の気持ちも整理できたりするんだということ。だからこそ、これまでは自分の実体験を作品に反映させていたのですが、それは今回で終わりにして、私とはかけ離れた人、例えば男性や高齢の人などを主人公にした話を撮りたいです。仕事としてどんな人物を中心に据えたら思いが伝わるのか……そんなことを考えながら、また撮っていきたいです」

道本咲希監督作品『なっちゃんの家族』

団塚監督「僕は正直、このプロジェクトに参加して、なにか映画に対する見え方が大きく変わったかというと、あまりなかった。仕事としての映画監督というのも、よく分からないまま終わってしまったような気がします。でも森田芳光監督や塩田明彦監督が好きなのですが、二人とも商業監督として活躍もしているので、どうやったら彼らみたいになれるのかはいろいろと考えていきたいです」

スーパーバイザー香月氏がみる各作品の魅力


上映会では、丸の内TOEIという大スクリーンで4監督の作品をお披露目。キャストたちを交えて撮影エピソードなどを語る舞台挨拶も行われ、取材陣が集まった。この東京会場を皮切りに、京都・大阪・名古屋でも合評上映会を開催した後、一週間限定の劇場公開が各地で行われる。簡単に各監督の作品概要および、本プロジェクトのスーパーバイザーを務める香月純一氏の総評を記載する。

『遠くへいきたいわ』団塚唯我監督
母を亡くした娘、娘を亡くした母の出会いを通じて、それぞれの悲しみと喪失を描いた物語。香月氏は「脚本を読んで透明感と乾いたタッチが新鮮に感じた。それに団塚監督はとても研究熱心で勉強家」と評価。

『なっちゃんの家族』道本咲希監督
会話のない夫婦を見ていた末っ子の娘・なつみは、登校途中家出を試み、祖母の家に。お婆ちゃんと過ごすなか、なつみは両親にある要求を突きつける……。香月氏は「予定調和ではない、だけれどちょっと希望が持てるラスト。俳優さんを立体的に演出できていた。道本監督の性格も穏やかで、これからどんどん成長してほしい」と評価。

『LONG-TERM COFFEE BREAK』藤田直哉監督
キャリアウーマンの優子、彼女をナンパして家に住み着いた俳優の直樹。そんな二人をはじめ、さまざまな男女の、それぞれの恋愛観、結婚観が入り混じった物語。香月氏は「ポップなイントロダクション、大胆な構成と演出。通俗的になりがちなテーマを、三島文学のように捉えている。藤田監督は人懐っこい性格であり、これから研鑽して頑張ってほしい」と評価。

『少年と戦争』竹中貞人監督
中学生のいじめと鬱屈した気持ちというテーマを、ポップでファンタジックに描いたエンターテインメント作品。香月氏は「竹中監督は、次から次へと浮かぶ面白いことをエンタメに結びつけようとするアイデアマン。キラーカットになるような画もしっかりお客さんを意識して考えられる人。作品の核になるものを見つけて、これからも頑張ってほしい」と評価。

本作品は、2月25日(金)より角川シネマ有楽町にて1週間限定公開後、大阪<3月4日(金)~>、名古屋<3月18日(金)~>で順次上映予定だ。

「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」公式サイト
《磯部正和》

ライター 磯部正和

雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。映画以上に、一部偏ったジャンルの音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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