アンドリュー・ガーフィールドは“アメイジング”!近年の活躍ぶりに注目

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で癒されたというアンドリュー・ガーフィールド、『アメスパ』以後のアメイジングな活躍ぶりを追った

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Netflix映画『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』Netflixにて独占配信中
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  • アンドリュー・ガーフィールド-(C) Getty Images
  • アンドリュー・ガーフィールド-(C) Getty Images
  • トム・ホランド&アンドリュー・ガーフィールド&トビー・マグワイア-(C)Getty Images
  • エマ・ストーン&アンドリュー・ガーフィールド-(C) Getty Images
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『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で最も感動した場面は? と聞かれたら、アンドリュー・ガーフィールドが演じた『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ(12、14)版ピーター・パーカー/スパイダーマンにまつわるシーンを挙げたくなる。

同作のデジタル配信とBlu-ray&DVDリリースの発表と同時に解禁された、3人のスパイダーマン集結のメイキング映像での一部でも、いたずらっぽい笑みを浮かべ、かなり楽しそうな様子だったアンドリュー。3人の中で唯一、3部作にはならず2作で打ち切りとなった『アメイジング・スパイダーマン』には、ファンと同じように彼自身にも何らかのしこりが残っていただろう。

しかし、近年の彼の活躍ぶりは目を見張るばかりで、なんと本年度のアカデミー賞では自身2度目の主演男優賞候補となったNetflix映画『tick, tick... BOOM!:チック、チック…ブーン!』、主演女優賞にノミネートされているジェシカ・チャステインの夫役を演じた『タミー・フェイの瞳』、そして視覚効果賞候補の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と3作品に絡んでいる。その劇中でも繰り返されたように、アンドリューはこれまでも、いままでも“アメイジング”な俳優なのだ。

多感で繊細な青年がハマり役に!演技力で注目される


1983年アメリカ・カリフォルニアで生まれ、イギリスへ移住し、両国の国籍を保持しているアンドリュー。高校卒業後はローレンス・オリビエやジュディ・デンチ、キャリー・フィッシャーらを輩出した名門演劇学校セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマで学び、舞台俳優としてキャリアをスタートさせる。

2007年、ロバート・レッドフォードが監督した『大いなる陰謀』で劇場長編映画に初出演、イラク・アフガン戦争中のアメリカ、“どこか遠くで起きている出来事”に無関心な若者の代表格といえる弁の立つ大学生トッドを演じた。

『大いなる陰謀』

映画初主演を飾ったTV映画『BOY A』(07・日本では劇場公開)は長い刑期を終えた24歳の青年が生き直す物語で、英国アカデミー賞(BAFTA)TV部門主演男優賞を受賞し、絶賛を受ける。現在、権利面の関係なのか配信サービスで観ることは叶わないが、アンドリューの目元や口元に感情が宿る繊細な演技はファンならば必見である。

その後も、ヒース・レジャーの遺作でジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルがその代役を演じた『Dr.パルナサスの鏡』(09)ではサーカス団の多感な青年アントン役に。かと思えば、英国ヨークシャーを舞台にしたダークミステリー3部作の1作目『レッド・ライディング I :1974』(09)で、連続少女失踪事件を追いながら闇に飲まれていく若き新聞記者役に挑んでいる。

『わたしを離さないで』

それまで知る人ぞ知る存在だったアンドリューを一躍有名にしたのが、Facebookの創始者マーク・ザッカーバーグの親友エドゥアルド・サベリン役を演じたデビッド・フィンチャー監督『ソーシャル・ネットワーク』(10)と、キャリー・マリガン&キーラ・ナイトレイが共演したカズオ・イシグロ原作『わたしを離さないで』(10)だ。特に『ソーシャル・ネットワーク』ではそれまでの役柄を踏襲するような煮え切らない心優しい青年から、マーク(ジェシー・アイゼンバーグ)に翻弄され感情を爆発させるシーンが印象的だった。

2014年に出演した「Arcade Fire」のMV「We Exist」

すべては『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で癒された


こうして高い評価を得たアンドリューは、『(500)日のサマー』マーク・ウェブ監督が手がける『アメイジング・スパイダーマン』シリーズに大抜擢される。すでに20代後半だったアンドリューには「ピーター・パーカーとしては年をとりすぎている」という意見もあったというが、彼はその確かな演技力によって、写真やメカいじりが得意で優れた科学の才能を持った(+少々おしゃべりで)、ヒーローとしては未成熟なピーター・パーカー/スパイダーマンを見事に演じてみせた。

だが、『アメイジング・スパイダーマン』第3弾はマーベル・スタジオとソニー・ピクチャーズの提携から白紙に。興行成績が前シリーズに比べて及ばなかったことや、話題を呼んだ恋人グエン・ステイシー役のエマ・ストーンとの交際に終止符が打たれたこともあり、『アメイジング・スパイダーマン2』のラストそのままにほろ苦さが残る結果となってしまう。

そのモヤモヤは今回の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でMJ(ゼンデイヤ)をキャッチして無事着地できたのだから、すべて吹っ飛んだと言っていいだろう。いや、ネッド(ジェイコブ・バタロン)が描いた魔法円からアンドリューのピーター・パーカーが現れたその瞬間に(続くトビー・マグワイアのピーター・パーカーも)、そんな心のしこりはすべて消え去っていたのだ。

米「Variety」にアンドリューが語ったところによれば、製作のエイミー・パスカルとケビン・ファイギ、監督のジョン・ワッツから連絡を受けた際、1スパイダーマンファンとして「同じフレームに3人のスパイダーマンが登場する」というアイディアだけで出演を決めるのに十分だったというアンドリュー。MJとのシーンは“アンドリュー”ピーターにとって「人生最大のトラウマの瞬間を癒すものになった」と打ち明けており、ピーターとしてきちんと区切りがついたことに何度も感謝を口にしている。

自身をスパイダーマンの“次男”だといい、劇中で「愛してる」と“長男”トビーと“三男”トム・ホランドにふいに言ったのは、本心からのアドリブだった。アンドリューは再びスパイダーマンを演じることにも前向きというが、人生の苦みを知った等身大の“アンドリュー”ピーターをもう一度観てみたい気もする。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』デジタル配信中 / 4月27日(水)ブルーレイ&DVD発売

『アメイジング・スパイダーマン』には、橋にぶら下がった車から男の子を助ける際「大丈夫だよ、普通の男だよ」とマスクを取ってみせるシーンがあった。まさにアンドリュー自身も一見ごく普通の男性に見えても、決してブレることのない信念を持つアメイジングな人物の数々を演じてきている。


『沈黙-サイレンス-』(16)


マーティン・スコセッシ監督が遠藤周作の小説「沈黙」を映画化。『スター・ウォーズ』新シリーズに抜擢されて注目を集めていたアダム・ドライバーや、窪塚洋介、イッセー尾形ら日本人キャストとも共演し、江戸時代初め、キリシタン弾圧を行う日本を訪れた宣教師に扮した。過酷な試練の中で、何度問いかけても神の沈黙は続く。不寛容さについても深く考えさせられる1本。


『ハクソー・リッジ』(16)


メル・ギブソン監督による沖縄戦を舞台にした戦争ドラマ。幼少期からの家庭での経験によりキリスト教の教え「汝、殺すなかれ」を貫き、武器を持つことを放棄した実在の衛生兵デズモンド・ドスを熱演。2作続けて壮絶な状況下で神と対話する男を演じたが、今作でアカデミー賞に初ノミネートされる。


『ブレス しあわせの呼吸』(17)


『ブリジット・ジョーンズの日記』のプロデューサー、ジョナサン・カヴェンディッシュが両親の実話を自らプロデュースして映画化。初監督のアンディ・サーキスがシリアスさを控えめにし、軽やかな作品に仕上げた。28歳でポリオに感染し、首から下が麻痺した主人公ロビンを演じるべくアンドリューもほぼ寝たきり、座りっぱなしで演じきった。


『メインストリーム』(21)


ソフィア・コッポラの姪、ジア・コッポラが監督。アンドリュー自身も製作に名を連ねる今日的な問題作。神と対峙する敬虔な者を演じてきた彼は、今作では遊び感覚で始めた動画がバズり、カリスマ的人気を得るYouTuber・リンクを怪演。マヤ・ホーク演じるフランキーとキュートな恋を繰り広げる前半と、“神”にでもなったつもりの後半ではまるで別人のよう。


『タミー・フェイの瞳』(21)


ディズニープラスにて配信中

天才的な話術を持つキャラクターが、なぜこうもハマるのか。Disney+(ディズニープラス)の「スター」にて配中の今作では、1970年代から80年代にかけてキリスト教福音派の伝道師としてTVで活躍していたジム・ベイカー役に。妻タミー・フェイの寛容なメッセージと独特の歌声も合わせて大人気となった夫婦は、金銭的な不正やジムの性スキャンダルでその帝国が崩壊していく。アカデミー賞ノミネートチームによる特殊メイクでタミーそっくりに変身したジェシカとともに、笑顔で胡散臭さを振りまくジムにも注目。


『tick, tick... Boom! チック、チック…ブーン!』(21)


Netflixにて配信中

舞台で鍛えられ、2018年のナショナル・シアター・ライブ「エンジェルス・イン・アメリカ」では80年代のニューヨークを舞台にHIV/エイズに侵された人々の人間ドラマに参加し、トニー賞演劇主演男優賞に輝いたアンドリュー。

そんな彼がリン=マニュエル・ミランダ初監督作で、ブロードウェイのロングヒットミュージカル「RENTレント」を生んだ作曲家ジョナサン・ラーソンを演じることになるとは運命的である。多くの言葉と音楽を抱えていながらも“書けない”苦悩や、現実的な締め切りとクリエイターとしてのタイムリミット、恋人との心の距離、友人の病などが時計の秒針のようにジョナサンを追い詰めていく。ほぼ歌うか、踊るか、話すか、泳いでいるかのアンドリューの入り込みように圧倒される。

そして次なる“舞台”は、ミニシリーズだ。ベストセラーノンフィクションを基にした米Huluのクライムスリラー「Under the Banner of Heaven」(原題)では刑事役に挑み、『フレッシュ』のデイジー・エドガー=ジョーンズと共演する。これまでとはまた違ったアンドリューのアメイジングな一面を目にすることができそうだ。

《上原礼子》
上原礼子

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。

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