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「ミズ・マーベル」オタク女子高生が主人公!MCU初の等身大ヒーローに迫る

MCUの新時代到来「ミズ・マーベル」の主人公カマラ・カーンを深掘り

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「ミズ・マーベル」 (c) 2022 Marvel
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『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』後に一変した世界を主な舞台にしてきたDisney+(ディズニープラス)のマーベルオリジナルドラマシリーズ。加えて、『エターナルズ』『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』など劇場公開映画にも新しいヒーローが続々と登場しており、MCUの新時代到来を感じさせている。

「ミズ・マーベル」の主人公カマラ・カーンも、もちろんその1人。ピーター・パーカー/スパイダーマンのような現役高校生で、パキスタン系の移民二世、勉強や運動は苦手でもアベンジャーズのことなら誰よりも詳しいオタク女子。そんなMCU史上かつてない新ヒーロー、ミズ・マーベル/カマラ・カーンの物語を深掘りした。

※以下「ミズ・マーベル」3話までのネタバレを含む表現があります。ご注意ください。


“アベンジャーズ好きの女の子”が
世界を救う!?


1話冒頭は、主人公のカマラが自作した「キャロル・ダンヴァースの真実の物語」の動画から幕を開ける。カマラ自らナレーションを務め、手描きイラストによるアニメーションで構成された力作だ。そう、カマラはキャロル・ダンヴァースことキャプテン・マーベルの筋金入りの大ファン。

2019年、アベンジャーズら最強のヒーローたちが勢揃いした“地球での戦い”でどんな活躍を見せたのか、あのサノスにパンチを食らわせたキャプテン・マーベルを、カマラがオタク愛たっぷりに語っている。アントマンことスコット・ラングのPodcast「大きい私と小さい私」から情報を得ているのも見逃せない。ただし、よく見ると、彼女のYouTubeチャンネル「Sloth Baby Productions」の登録者はわずか2人。コメントから察するに親友のブルーノとナキアだけらしい。

このときのカマラは、初めてのファンイベント「アベンジャー・コン」で披露するキャプテン・マーベルのコスプレのことで頭がいっぱい。終始うわの空で進路相談の先生にも、家族にも将来を心配され、“地に足がついていない”状態だ。それでも、「茶色い肌の女の子が世界を救うわけない」という現実だけは身に染みてわかっている。

そんな彼女が故郷パキスタンにいる祖母から送られてきたクールな腕輪を偶然身につけたことで、本物のスーパーパワーを発揮できるようになる。

思えば、これまでのMCUにはカマラのような少女はいなかった。「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」でアフリカ系のキャプテン・アメリカが誕生し、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』ではアジア系のヒーローが登場し、その迫害の歴史や根強い差別、文化の継承、移民としてのアイデンティティーなどを提示してきたが、MCU映画で女性ヒーローが単独主演を果たしたのは憧れのキャプテン・マーベルが初めて。

では、本作のカマラはといえば、パキスタンからニュージャージー州ジャージー・シティに移住してきた両親と、結婚を控えた兄と暮らす高校2年生。母親をアラビア語で「アミ」(ママ)、父親を「アブー」(パパ)と呼び、イスラムの因習を少々窮屈に感じながらも厳しい母親には逆らえず、モスクにお祈りに通い、コミュニティの行事にはきちんと参加している。

ピーター・パーカーのようにずば抜けた理系の才能があるわけではなく、運転免許の試験にもまだ合格していない。2話に登場した年上の転校生カムランにときめく、普通のティーンエイジャーだ。「アベンジャー・コン」で友だちを助けたはずなのに、その子がフォロワー急増で一躍人気者になったことがちょっと羨ましい。そして不思議な光を放つスーパーパワーがバングルによって解き放たれた自分自身の力であることが分かると、「私はアスガルド出身? ソーの親戚?」と喜ぶその発想からオタク全開。もちろん憧れのキャプテン・マーベルや、『ソー:ラブ&サンダー』に登場するジェーン版マイティ・ソーやヴァルキリーなどのような洗練された格好よさにはまだまだ、ほど遠い。

このカマラを演じる新星俳優イマン・ヴェラーニ自身が、実際にキャプテン・マーベルのコスプレにハマったこともあるマーベルヒーローの大ファン。製作陣が満場一致で「彼女しかいない」と選んだ逸材で、「ホークアイ」でケイト・ビショップを演じたヘイリー・スタインフェルド(祖父がフィリピン系でアジアにルーツがある)が『スイート17モンスター』や『バンブルビー』で演じてきたような、失敗や挫折、葛藤を繰り返しながら成長していく青春の主人公にぴったりのティーンエイジャーだ。

物語が進むにつれて、自分らしさとは何か、自分はどう生きればいいのかという10代ならではの自問が、きっとカマラだけのヒーロー像に結びつくはずだ。


MCU初!? ポップな学園青春ドラマ×ヒーロードラマが誕生


「ミズ・マーベル」は、カマラと同じニュージャージー州出身のG・ウィロー・ウィルソンが生み出したマーベルコミックが原作。その共著者であるサナ・アマナットが製作総指揮に加わり、脚本・製作総指揮を人気青春ドラマ「セックス・エデュケーション」シーズン1やマーベルドラマの「ロキ」にも参加したパキスタン系イギリス人のスタンダップコメディエンヌ、ビシャ・K・アリが手掛けている。

ムスリムの女子高校生を主人公にしたことで、家庭で行われる伝統的な結婚式や祭事を丁寧に描いたり、ムスリム女性の地位向上のためモスクの理事に立候補する親友ナキアが存在感を発揮したりと、移民二世たちの“いま”を現代の青春ドラマに巧みな形で落とし込んでいる。例えば、「アベンジャー・コン」に行きたいと兄アーミルが言うなら自由にさせるくせに、とカマラが訴えるシーンには切実な思いが込められている。その一方、SNSで「ナイトライト」と呼ばれるのは不本意で、ヒーローとしての活躍ぶりがバズれば、それはそれで嬉しいのだ。

ふだんトレーニングなどしたことのないカマラが、親友のブルーノとともに特訓を繰り返すシーンも微笑ましく、親しみやすいヒーロー像を印象づける。見ているだけでワクワクする、ポップな映像の遊び方はアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』のようでもある。また、親世代から見ても、ティーンエイジャーになった我が子の言動が時々“宇宙人”のように感じられる、という描写は共感を誘うだろう。

パワーを制御できずにトイレに駆け込んだカマラをナキアが心配するシーンでは、ディズニー&ピクサー『私ときどきレッサーパンダ』のように“生理をタブー化”することなく描いていた。背伸びばかりをしていたニューヨークのスパイダーマンと比べてもさらに身近で等身大、“地に足がついている”。

なお、サウンドトラックにも、ザ・ウィークエンドや「ボン・ジョヴィ」、キャプテン・アメリカの「Star Spangled Man」に、パキスタン系イギリス人俳優でラッパーのリズ・アーメッドのユニット「スウェットショップ・ボーイズ」やボリウッド音楽まで盛り込まれ、アメリカと南アジア双方の背景を感じさせて没入感を高めている。


MCU作品との繋がりにも注目


3話までのストーリーで、カマラの潜在パワーを引き出した謎のバングルには、イギリス植民地下からインドとパキスタンに分かれて独立した1947年の“分離独立”を背景に、カマラの曾祖母アイシャが関わっていることがわかってきた。明確なヴィランの存在も見えてこなかったが、アイシャと関わりがあり「別次元から追放された」と語るカムランの母ナジマがバングルを力尽くで奪おうとしている。

恋した相手の親が天敵だった、という設定は『スパイダーマン:ホーム・カミング』と同じ。『マイティ・ソー』シリーズや『アベンジャーズ』シリーズでお馴染みのセルヴィグ博士の名も一瞬登場した。さらに、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に登場したダメージ・コントロール局のクレイアリー捜査官や部下のディーヴァー捜査官がカマラに接触してきている。その強引で傲慢なやり口は今後も油断ができない。

「茶色い肌の女の子が世界を救うわけない」と嘆いたカマラには、頼りになる“椅子の男”であるブルーノが「君はカマラ・カーン。君が心を決めれば、きっと世界を救える」と応じていた。“将来、どんな人間になりたいのか”。その問いの答えはカマラの中ではたった1つ、キャプテン・マーベルのようなヒーローになることだけだろう。

そんなカマラ/ミズ・マーベルは今後、キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)が主人公の映画『The Marvels』(原題/2023年全米公開)にも主要キャラクターとして登場することが分かっている。


「ミズ・マーベル」を視聴する

「ミズ・マーベル」は毎週水曜日16時よりディズニープラスにて日米同時配信中(全6話)。

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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