フランス映画界の名優マチュー・アマルリックの監督最新作『彼女のいない部屋』が8月26日(金)より公開。この度、ミステリアスな会話シーンを切り取った本編映像が解禁、併せて主演のヴィッキー・クリープスからのメッセージ動画も到着した。
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アマルリック監督の「最高傑作」と高く評価されている本作。主人公クラリスを演じるのは、『ファントム・スレッド』『オールド』『ベルイマン島にて』などに出演し、いま“ヨーロッパNo.1女優”ともいわれ、今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門女優賞にも輝いたヴィッキー・クリープス。ストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という1行のみ、となっている。
この度解禁となった本編映像は、朝食にクレープ作りをする夫マルク(アリエ・ワルトアルテ)と娘の会話から始まる。「手伝う?」「いい」という会話の合間に、どこからともなく女性の声が差し込まれる。「ねえ、マルク、私はここ」。劇中で、どうやらこの男にだけは妻・クラリス(ヴィッキー・クリープス)の声が聞こえているようだ。
マルクは娘にクレープの焼き方についてうるさく口を出しているが、クラリスが「ほめてあげて」と声かけると「大丈夫、うまいもんだ」と褒める。次に息子をみて彼女は「大きくなった」と感慨深そうにつぶやく。マルクは「本当に成長した」と応え、彼女が「あなたも太った」とマルクをからかう。
彼女が「目を閉じて」と語りかけると、マルクは目を閉じて微笑む。やがて1人、目を閉じているクラリスの姿が映し出されるが、それはどうやらここではない、どこか遠い場所にいるようだ。「目を閉じ、あなたを見る。呼吸を感じる。会いたい」とクラリスが言えば、マルクは「僕もだ」と応じる。マルクの目の前にいる息子と娘には、そのやりとりは聞こえていない――。
一見おだやかに見える、このミステリアスな一連の場面の秘密が気になるところだ。
この場面でもう1つ印象的なのが、クラリスが口ずさむ歌。アマルリック監督は、「ちょうどリハーサルをしているときにヴィッキー・クリープスが即興で、J・J・ケイルの歌『チェリー』を口ずさんだんだ! ぴったりな歌だと思った。これは“チェリー、君を愛したい。チェリー、君も愛してくれる? いつか君を......それだけが望み”という歌によって、遠く離れた夫を誘惑しようとしている場面なんだ」と語っている。
クラシックなピアノ曲も素晴らしい本作だが、J・J・ケイルをはじめポップロックの使い方も本作の魅力となっている。
また、今回、ヴィッキーから日本の観客に向けてのメッセージ動画も到着。故郷ルクセンブルクで開催されている日本に関する展覧会の会場を背景に、映画『彼女のいない部屋』について「私にとっても、アマルリック監督にとっても、とてもパーソナルな映画。描かれるのは“死”について、“違う世界”について。この“世界”と次の“世界”をどう生きるか。そして、ときどき2つがどう影響しあうかということを描いている」と話してくれた。
『彼女のいない部屋』は8月26日(金)よりBunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開。