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【ネタバレあり】BTS・RMもハマった『別れる決心』パク・チャヌク監督こだわりの超絶技巧7大ポイントを解説

「BTS」のRMが5回も鑑賞したというほど大ハマりした『別れる決心』に散りばめられた、観るたびに新たな発見をもたらす7つのポイントを徹底解説。

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『別れる決心』© 2022 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM. ALL RIGHTS RESERVED
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  • パク・チャヌク監督
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パク・チャヌク監督の“大人のラブロマンス”に世界中でリピーターが続出となっている『別れる決心』。日本でも公開後、「先が読めなくて、目が離せない」「何気ないセリフや小道具に、見終わった後も余韻が残る」「もどかしくて、何度も観たいと思わせる」などと早くもSNSなどで話題沸騰中。

「BTS」のRMも5回も鑑賞したというほど大ハマりし、ついには本作とのコラボMVも実現した本作は、舞台装置、衣装、編集、小道具など細部へも監督のこだわりが徹底されており、観るたびに新たな発見をもたらしてくれる。そんな本作の仕掛けとなる7つのポイントを徹底解説する。


>>『別れる決心』あらすじ&キャストはこちらから

パク・チャヌク監督がエロスもバイオレンスも封印して挑んだのは、大人のためのラブロマンス。刑事と容疑者という、惹かれあってはならない者同士の禁断の愛を描いた本作は、過激なラブシーンは一切なく、さらに言葉の壁がもどかしさをかき立て、なんともロマンティックでエロティック。

本作にはリピーターが大変多いこともあり、2回目以降の観賞を検討している方も注目の本作をより楽しむための監督のこだわりポイントを紹介する。

※以下、映画の重大なネタバレを含みます。ご注意ください。

(1)全体を通して貫かれる対比構造


本作では、刑事と容疑者という禁断の愛が描かれているが、言葉の壁や「曖昧さ」が物語のミステリアスな雰囲気やサスペンス要素を膨らませる一方で“対比”がふんだんに盛り込まれている。

舞台となる“海の町”と最初の事件が起きる“山”。そしてへジュンの妻・ジョンアンは原子力発電所の技術者であり、ソレは孔子の言葉を引用するような文学好き。煙草を嫌うジョンアンに対し、煙草を好むソレ、など多くの対比構造が盛りだくさん。ほかにも探しながら観るのもおススメ。

(2)へジュンとソレの類似性


へジュンとソレが対面する最初の事情聴取のシーン。ソレが「夫はどんな姿ですか?」と尋ねると、へジュンが「言葉で説明しますか? それとも写真で?」と返す。ソレは「言葉」と言うが、すぐに「写真」と言い直す。このときに注目してほしいのがへジュンの表情だ。最初の「言葉」と言ったときは少し落胆したような表情をする。「写真」と言い直すと少し嬉しそうに写真を見せる。

そして「あなたは僕と同じく、言葉ではなく写真を選ぶタイプだと思った」と告げる。これはへジュンも、現実を直視するタイプだということを表している。この時点でへジュンの恋心はすでに始まっていたのかもしれない。

ほかにも、山より海派、同じスマホを使っている、同じ車に乗っているなどたくさんの共通点が2人には存在している。

(3)ソレの夫たちに浸食されていくへジュン


もはや仕事か趣味か分からないレベルで、容疑者ソレの張り込みを続けるへジュン。ソレにのめり込むあまり、張り込み中や実際にソレの部屋へ訪れて目撃した、ソレの夫たちの癖や好んでいたものを嗜むようになっていた。

彼女の最初の夫キ・ドスは台湾のウイスキー「KAVALAN」を愛飲。ソレの部屋でそれを見つけたへジュンは、その後の刑事仲間との食事のシーンでKAVALANをキ・ドスと同じようにスキットルに注ぐシーンが描かれている。

ほかにもソレの2人目の夫イム・ホシンは指をボキボキと鳴らすのが癖だが、へジュンは一度会っただけにもかかわらず、とあるシーンでおそらく自分でも無意識的に指をボキボキ鳴らしている。品があり優しい刑事というキャラクターには全く似つかわしくない行為だが、ソレへのめり込むあまりソレの夫たちに自分を寄せていくのだ。

(4)本作の始まりである「マルティン・ベック」シリーズの登場


『別れる決心』は監督曰く「私が好きなスウェーデンの推理小説、警察官のマルティン・ベックシリーズのような、私好みの性格の刑事キャラクターを登場する映画を作りたいと思いました」と、その始まりは「マルティン・ベック」シリーズであることを公言している。

その推理小説が本編に登場していたことにお気づきだろうか? へジュンがソレに手料理をふるまうべく、自宅に招待したシーン。へジュンが腕を振るっている間、ソレは部屋を散策。デスクの電気を点けると机の上に積まれていた本の表紙が映し出されるのだが、その本こそが「マルティン・ベック」シリーズ。へジュン自身も愛読し、マルティン・ベックのような刑事になりたいと思っていたのだろうか?

(5)壁紙や衣装に込められた意味


ソレは劇中、青色にも緑色にも見える衣装を身に着けているが、これはソレがファム・ファタールなのか、はたまた本当にへジュンを愛する女性なのか、ということを比喩的に表現する装置になっている。

また、ソレの部屋の壁紙は、これも海にも山にも見えるようなデザインになっている。それぞれ衣装デザイナー、美術監督のアイディアで監督がそれを採用し、それに合わせてセリフも変更したという“チーム パク・チャヌク”ならではのこだわりとなっている。

(6)波がソレの横顔に!


クライマックスシーン。ソレを追って海へとやって来たへジュン。車をソレの車の後ろに止めるシーンで突然、真上からの俯瞰の映像になるのだが、そのシーンでの波の形がソレの横顔になっている、という! リピート鑑賞の際は注目して見てほしい。

(7)へジュンは結局ソレの手の中


ソレを追って海へ来たへジュン。ソレは自らの命を絶とうと砂浜に深い穴を掘り、その中に入ってしまう。徐々に潮が満ちて穴の中に水が入り始め、ソレは手のひらで水と砂の感触を味わっている。

そこでシーンが切り替わるが、その際にパっと切り替わるのではなく、手のひらを出したソレがフェイドアウトする。次のシーンでは砂浜を血眼になって走り回るヘジュンの姿が…。その瞬間、へジュンはソレの掌の上を走り回っているように見えるのだ。

ほかにもパク・チャヌク監督やスタッフたちのとんでもなく細部までにわたるこだわりが満載の本作。韓国では、一度目はへジュン目線で、二度目はソレ目線でという楽しみ方がブームになっていたともいう。

また、諏訪部順一=ヘジュン、沢城みゆき=ソレと超人気声優が主演2人を演じた日本語吹替版も上映中。全編・全画面に散りばめられた超絶技巧&注目のポイントを逃さず体験でき、同時に2人の決めセリフも超人気声優の演技で楽しむことができる吹替版はリピート鑑賞にも向くだろう。

RMの楽曲と『別れる決心』の映像を使ったコラボMVも登場

『別れる決心』はTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開中。

《シネマカフェ編集部》

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