ソウル・弘大(ホンデ)のすぐ隣に位置する延南洞(ヨンナムドン)は、トレンドと穏やかな日常が共存しているエリア。ホンデは活気あふれる「若者の街」というイメージが強いが、一歩路地へ足を踏み入れると住宅街が広がっており、そこで生活をする地元の人々の暮らしが感じられる。
街のシンボルは、廃線となった京義線の線路跡を再整備して誕生した「京義線スッキル公園(京義線森の道)」。地元の人にはニューヨークのセントラルパークをもじった「ヨントラルパーク」の愛称で親しまれている。緑豊かな遊歩道沿いには、個性あふれるカフェや洗練された雰囲気のセレクトショップ、おしゃれな雑貨店が点在しており、コーヒーを片手に散策したり、路地裏でお気に入りの一軒を探したりと、思い思いの「大人のソウル旅」が楽しめるエリアなのだ。
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ソウルの最新カルチャーや感性に触れながら、肩の力を抜いて街歩きを楽しめる街。今回は、そんな延南洞で大人も満喫できるおすすめスポットを紹介していきたいと思う。
▼延南洞への行き方
玄関口となるのは、空港鉄道A'REX、地下鉄2号線、京義・中央線が乗り入れる弘大入口(ホンデイック)駅。3番出口を出ると、目の前には「京義線スッキル公園(京義線森の道)」が!全長約6.3kmに及ぶ公園の中でも、弘大入口駅から加佐(カジャ)駅まで約1km続いているのが延南洞区間。もともと住宅街やチャイナタウンだったが、公園の整備をきっかけに遊歩道沿いにカフェやショップが集まる人気エリアへと発展。話題のスポットの多くは駅から徒歩5~15分圏内にある。
▼おすすめスポット
①書店、リスボン(서점,리스본)
キュレーション書店。店名の「リスボン」は、一冊の本との出会いが主人公の人生を大きく変えていく小説『リスボン行き夜行列車』にちなんで名付けられたのだそう。元ラジオ作家の店主が「ラジオのように、人と本をつなぐ書店」をコンセプトに営んでおり、MBTI別のおすすめ本や誕生日本など、訪れる人の好みや気分に寄り添った選書を提案している。
渡韓した7月は、ちょうど筆者の誕生日月でもあったので、同じ誕生日の作家が書いた本が入ったセットを一つ購入した。誕生本を購入すると3種類の栞の中から好きなデザインを一枚選ぶことができ、それに好きなフレグランスを振りかけてボックスの中に一緒に入れてくれるという、なんとも嬉しいサービスがあった。「この日」に「この場所」へ来たということを、香りとして覚えておけるなんて、センス抜群すぎる!と感激してしまった。
また、書店の構造としては1階はいわゆる一般的な書店。2階にあがると大きな窓から日光が差し込む静かな書斎のようなスペースが広がっている。本を読めるようだったが、私は時間が足りず泣く泣く断念。ゆったりとできる時間を確保したうえで、次回また再訪したいと感じた書店だった。
②翻訳家の書斎(번역가의 서재)
韓国で唯一の翻訳書を専門に扱っている書店。現役翻訳家のパク・ソニョンさんが、自ら読んで選んだ翻訳書が並べられている。店内は、自宅の書斎を思わせるような空間。原書の読書会や朗読会、音楽・映画鑑賞会など、本を通して人と人がつながるイベントが定期的に開催。さらに、毎月独立系出版社とともにテーマを設けた「今月の展示」も行っているのだそう。
韓国語に訳された『吾輩は猫である』や『団地のふたり』などの日本の書籍も並んでいた。筆者自身、翻訳を学んでいるということもありずっと気になっていた書店。韓国で日本の本がどのように訳されているのか、日本版の表紙と韓国版の表紙がどのように変わっているのかなど、さまざまな楽しみ方ができる空間だ。
③JO & DAWSON 延南本店
韓国人の友人の「絶対にここのフレンチトーストを食べてほしい!!」という猛烈プッシュで訪れた人気カフェ。店内はダークブラウンを基調とした落ち着きのある空間。延南本店はコンパクトで席数が少ないため、時間帯によっては待ち時間ができることもあるそう。今回は窓際のカウンター席へ。街ゆく人々を眺められる、観光客に嬉しい席だった。
看板メニューの「クラシックフレンチトースト」は、厚切りのパンを卵液にじっくり浸し、一枚ずつ丁寧に焼き上げた一皿。表面は香ばしくキャラメリゼされてカリッとした食感、中は卵がたっぷり染み込んだ、しっとりふわふわの口当たりが楽しめる。横に塩が添えられているのも通なポイント。塩を付けることで甘みがより際立ち、最後まで飽きずに味わえるのだ。
光化門に2号店がオープンしたが、ソウルの観光&仕事の中心地ともいえるエリアということもあり、行列必至だそう。延南本店は、平日の夕方あたりの時間は比較的並ばずに入れるのでねらい目。
延南洞散策コースにぜひ組み込んでほしいカフェのひとつだ。
④On Your Mind(온유어마인드)
路地裏にある銭湯の建物の5階に、まるで秘密基地のようにひっそりと佇む雑貨ショップ。いわゆる建物の内観は普通のオフィスが集まっているようなビルなので、「こんな場所に本当に…?」と心配になるが、そのまま廊下の奥に進んでいくと可愛い犬が描かれた看板が現れるのでご安心を。
ドアを開けると、文具好きにはたまらない空間が広がっており、もう筆者のテンションは表にこそ出さなかったものの、内心爆上がり。感性溢れる写真を表紙にあしらったダイアリーをはじめ、デコレーションにぴったりなステッカーやデザインペーパー、マスキングテープなど、思わず手に取りたくなるアイテムがずらり。店内も狭すぎず、比較的ゆったりと見れる広さだったのも嬉しいポイントだ。
また、ホンデの駅の近くには皆さん大好き「オリーブヤング」や韓国旅行の新定番「ダイソー」なども!この他にも、「책방서로(チェクパンソロ)」や「책방밀물(チェクパンミルムル)」などの独立系書店をはじめ、カフェの「OSE」など、延南洞には大人も楽しめるスポットが数多く集まっている。今まで「ホンデは若者の街だから…」と敬遠していたのを少し後悔したほど。落ち着いた時間と洗練されたカルチャーを楽しめる延南洞は、大人にこそ訪れてほしいソウルの注目エリアだ。
(文=豊田 祥子)
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