三池崇史監督と北米配給スタジオNEONが組んだ『バッド・ルーテナント:トウキョウ』。事件の鍵を握る石塚満役を演じる間宮祥太朗に注目したい。
主演の小栗旬が「史上最悪の汚職刑事(バッド・ルーテナント)」を怪演し、ハリウッド女優リリー・ジェームズも出演する本作。

間宮祥太朗が演じるのは「最凶サイコパス」石塚満。石塚は、幼少期に親に捨てられ児童養護施設で育った過去を持つ。所属していた青龍会も服役中に解散し、背中に大きな刺青を入れ、狂気の淵へと身を投じていく人物だ。
元組対(警視庁・組織犯罪対策部)の刑事・矢吹恭二(小栗旬)は、ヤクザを狙った連続猟奇殺人事件を担当する中で、遺体に残された入れ墨を手がかりに石塚へとたどり着く。

北島直明プロデューサーは間宮の起用理由について「サイコパスに見せるには目と、あとは"背中"が必要。間宮さんなら背中と目でその狂気を表現できると思いました」と語る。
中でも象徴的なのが、全裸の石塚がピアノを弾く衝撃的なシーンだ。たまたま撮影場所にピアノがあり、その場で突発的に弾くことになった。この場面について、三池崇史監督は「きっと石塚はかつて何かを求めて何者かになろうとしていたけどなれなかった。そんな彼がピアノを指ではじくのは切ないなと思ったんです」と語っている。
「ただそういう具体的な話は俳優に言わない。言葉で伝えると窮屈になるし、"こうだから"と高みから説明するとステレオタイプのキャラになってしまう。言葉で説明せずに分かり合う余地を残すことで他にはない気配が出る。そこは間宮さんとも一致していたと思います」と、石塚を単純な悪役にしないよう間宮と作り上げた撮影現場の様子をふり返る。
過度な説明を排除し、役者自身が放つ独特の気配と佇まいを活かす。だからこそ石塚というキャラクターは、怖さの奥底に悲しさや儚さを感じさせる強烈な説得力を獲得した。

この難役に挑んだ間宮本人は、「歪んではいる役だけれど少年のままの純粋さを強く意識して演じました。あとは『顔よりも背中の天女の方が“顔”だ』くらいの感じで、そこが美しく見えればいいなと思ってやっていました」と役に滲む感情の源流を語る。長時間に及ぶ繊細な刺青メイクを経て、役へと静かに集中していったようだ。
自然体で現場に存在する彼の姿勢について、三池監督も「自分を大きく見せたいという欲から解放されて自然体で現場にいる。目指しているものが違うと感じたし、撮っていて心地いい男でした」と深い信頼を寄せる。
一切の力みを感じさせず、圧倒的な静寂とともに役に没入する間宮だからこそ表現し得た、美しくも恐ろしい存在感。直接的なバイオレンスだけに留まらない、人間の業と切なさを抱えた彼の妖艶な演技の神髄を、ぜひ劇場のスクリーンで目撃してほしい。
『バッド・ルーテナント:トウキョウ』は10月23日(金)より全国にて公開。




