モンゴル族のウルゲン(ニンツァイ)は、昔ながらの遊牧生活を望んでいるが、草原は砂漠化が進み、わずかな羊の放牧すらままならない。定住を奨励する政府とは諍いが絶えず、妻のインジドマ(ナーレンホア)も切迫する生活を支えようとするが、なかなか上手くいかない。そしてある日、ついにウルゲンは最愛の馬を売るために街に出る――。変わりゆくモンゴルの大草原を舞台に、失われゆく伝統文化、時代の奔流の中で誇りを胸に生きる家族の運命を描く。
ニンツァイ
『草原の愛 モンゴリアン・テール』や『天上草原』、『モンゴリアン・ピンポン』など、内モンゴルを舞台にした作品には傑作が多い。そうした作品のみずみずしい緑の草原と、そこに暮らすモンゴルの人々の温かさに癒されてきた。しかし、『白い馬の季節』はそうしたモンゴル作品とは一線を画している。草原は乾ききり、砂埃が風に舞い、まるで砂漠のように見える。そんなモンゴルの姿を描いた本作で遊牧民のインジドマを演じたナーレンホアに話を聞いた。