小学4年生の春田光紀には、読んだものを“しまう”力があった。古事記も枕草子も平家物語も、一度読んだだけで完璧に暗記できるのだ。ある日、光紀は学校から帰る途中で、一人の老人と出会う。その老人との間で奇妙な友情が芽生えるが、体調を崩した老人は入院してしまう。慌てて病院にかけつけた光紀が老人の肩を支えると、様々な映像がドッと流れ込んできた。それは、老人の70年に及ぶ、人生の記憶だった――。恩田陸の小説を原作とした、演劇集団キャラメルボックスによる短編演劇“ハーフタイムシアター”を大スクリーンにて上映。
小林啓一