「建てない」建築家がいる――名前は坂口恭平。「0円ハウス」、「ゼロから始める都市型狩猟採集生活」といった著作で現代のライフスタイルに問いを投げかける彼は、初めての建築作品“モバイルハウス”の製作にとりかかる。「師匠」は多摩川の河川敷で長年、路上生活を送る“多摩川のロビンソン・クルーソー”。製作費26,000円。師匠の叱咤激励を受けようやく完成した家を多摩川から設置場の吉祥寺に移動するという前日、東日本大震災が起こった…。
本田孝義