高松市美術館学芸員の神高涼香は、憧れの芸術家である安藤行人の回顧展を担当することになった。しかし、年老いた行人は既に創作意欲が無く、回顧展に消極的だった。幻滅する涼香に行人は懐中時計を見せる。それはかつて若き日に見知らぬ女性から貰い受けたものだと打ち明け、その元の持ち主の女性を探して欲しいと頼むのであった。「持ち主が分かれば新しいアートが生まれるかもしれない」と語る行人に、涼香は戸惑いながらも了承する。涼香は、母を亡くしてから関係のぎくしゃくしていた父や幼馴染みの健治の助けを借り、元の持ち主を突き止めるのだが…。
金子修介