豪士は、母親と共にリサイクル品を販売しながら孤独な日々を過ごしていた。ある夏の日、青田に囲まれたY字路で幼女・愛華の誘拐事件が起こった。犯人は見つからず、事件直前まで愛華と一緒にいた紡は、心に深い傷を負うこことなった。事件から12年後、高校を卒業した紡は、街のホームセンターで働いていた。祭りの前日、準備で集まった公民館で、紡は豪士と出会い、孤独な豪士に対して感情が芽生える。そして祭りの日、12年前と同じY字路で、再び少女が行方不明となる。やがて豪士が犯人だと疑われた。追い詰められ、街へと逃れるが、そこで豪士は驚愕の行動に出る…。それから1年後、東京の青果市場で働く紡。Y字路に続く限界集落では、養蜂家の善次郎が愛犬レオと生活していた。祭りの前日、手伝いで地元に帰省していた紡は善次郎と出会う。そんなある日、善次郎が計画していた村おこしの話がこじれ、村人たちの怒りを買ってしまう。村八分によって善次郎は狂気に陥り、恐るべき事件へと発展する――。
瀬々敬久