雪が降り続く小さな村で一人の少年が忽然と姿を消した。失踪した少年と一緒にいた兄・白川一希の曖昧な記憶に警察の捜査は混乱。そんな中、誘拐監禁殺人の容疑者として捜査線上に江藤早奈江が浮かび上がる。ほかに何件もの殺人容疑がかかる中、江藤早奈江は完全黙秘で無罪となる。30年の年月が経過し、少年失踪事件の容疑者だった早奈江の一人娘、早百合を見つけ出した事件記者の木立省吾が一希を訪ねてくる。毎夜、雪で弟を見失う悪夢に苛まれ、自分を責め続ける一希。人間は強烈な体験の呵責、苦痛によりその間の記憶を全て喪失することがある。もはや記憶からは「真実」に辿り着けない。少年が消えた事件の日から被害者の兄と容疑者の娘という、心に傷を持つ男と女が交錯する…。
cocoレビューを見る甲斐さやか