ファッショニスタから熱烈に支持され、メディアには匿名性を貫いた「メゾン マルタン マルジェラ」のデザイナー、マルタン・マルジェラが2009年、表舞台から突然姿を消した――。顔は見せず、インタビューは書面のみで「I=私」ではなく「We=私たち」と答える、ファッション界の異端児に何があったのか。 そして今、マルタン・マルジェラと共にモードを築いたブランドの共同創始者ジェニー・メイレンスや初期のデザインに関わっていたミス・ディアナことディアナ・フェレッティ・ヴェローニ、メイクアップ・アーティストのインゲ・グログニャール、自身のブランドを持つルッツ・ヒュエル、現在アレキサンダー・マックイーンにて活躍中のハーレー・ヒューズなど、当時のクリエイティヴ・スタッフの「私たち」が語られることのなかった激動の20年間を語りはじめる。 数々のアーカイブと証言から浮き彫りになったのは、傷ついた天才と引退の舞台裏だった。
メンナ・ラウラ・メイール