1956年に創立され17年目を迎えた日本フィルハーモニー交響楽団。1972年のその日、彼らは経営主である放送局から資金援助の打ち切りを通告された。討論の末、多くの団員はそれぞれの道に進むことを選び、残された者は独自で日本フィルを続けていくことになった。入団して間もない樺沢昇も、残った者の1人だ。放送局からガス、電気を止められている事務所で存続を求めるファンを集めてのコンサートを開いていた時のこと。昇は観客の中に幼なじみの茂木伸子がいることに気が付いた。7年振りに会った伸子に一目で惹かれた昇だったが...。
神山征二郎