60歳のイリヤは定年間近の鉄道運転士。現役中に28人を殺してしまったという不名誉な記録を持っている。イリヤが養子として迎えた19歳になる息子シーマは、家業である義父の仕事の後を継ぐ準備をしている。そんな息子にイリヤは、事故は避けて通れないものだと折に触れて話す。シーマは人殺しになりたくないという恐怖を抱きながらも、初乗務から初殺人に至るまでどれくらいの時間がかかるのか気になって仕方がない。イリヤは「一週間のうちに一瞬で終わる」と励ます。 運転士の業務についたシーマは、不安を抱き、汗をかき、夜も眠れなくなる。
ミロシュ・ラドヴィッチ