2011年、一人の炭鉱夫が残した絵が日本初のユネスコ世界記憶遺産になった。作者は福岡県の炭鉱の町に生まれた山本作兵衛さん。自らも生粋の炭坑夫で、その体験を子や孫に伝えたいと、60歳も半ばを過ぎてから本格的に絵を描き始め、2000枚とも言われる絵を残した。本作は作兵衛さんの残した記憶と向き合い、その絵さながらに働いた元おんな坑夫の人生や作兵衛さんを知る人々の証言を通じ、この国の過去と現在、未来を掘る。
熊谷博子