遂に夢にまでみた念願の鹿革100%のジャケットを手に入れたジョルジュ。彼の鹿革ジャケットへの深い愛情は、やがてジャケットと会話ができるまでになり、彼らの仲は互いの夢を語り合えるまで深くなっていた。完璧なジャケットとそれを着た完璧な自分を撮影するジョルジュは、さらなるファッションの高みを目指すために放浪の旅に出る。旅先のバーでジョルジュは映画監督を夢見るウエイトレス、ドゥニースと出会う。首尾よく彼女を言いくるめ、己の夢と欲望が詰まったジャケット映画の制作を始めるジョルジュだったが、ジャケットへの異常な愛情は徐々にエスカレートしていく。「世界で唯一のジャケットになりたい――」ある時、鹿革ジャケットの切なる願いを聞いたジョルジュは、”世界でジャケットを着ている唯一無二の男になる”ことを決意。そして、殺人を犯しながら道ゆく人のジャケットを奪う<死のジャケ狩り>を始めるのだった…。
カンタン・デュピュー