越前・三国嶽の山中、竜神が封じ込められているという夜叉ヶ池の傍に、萩原晃と妻の百合が住んでいた。未曾有の陽照りが続いていた夏のある日、二人の住む村に一人の男が現れた。男は山沢学円という学者で、一昨年の夏、親友が国々に伝わる不思議な物語を集めようと東京を旅立ち、そのまま行方が知れなくなったと百合に話す。その男が夫、晃と察する百合。二人の話を立ち聞きしていた晃は学円の前に出て、ここに落ちつた訳を語る…。
篠田正浩