ある心理相談室に勤める心理カウンセラー・倉田真美は、妊娠6か月目で産休前最後の出勤日だった。予定していた最後の相談者を見送ったあと、ある一人の女性・吉高アケミが予約なしでやってくる。やむなく「相談内容だけでもお聞きしましょうか」と伝えた倉田に、アケミは「…妖怪が見えるんです」と語り始める。 謎めいた彼女の口から語られる暗い物語が、奇妙なことに聞いている倉田を妄想に駆り立て、不安の渦に堕としてゆく…。
酒井善三