5年前に喧嘩別れし、突然消息を絶った息子・レンが母・明子のもとにふらりとあらわれる。その月日、明子の生活は彩りを失い、病と貧しさを抱え、孤独を抱えていた。2人の葛藤の深い淵を埋めようと、レンは明子を「終点」となる海へ連れ出す。 寒風吹きすさぶ季節はずれの海辺に焚かれた焔が、母と子の永遠の離別を照らしだす。2人の心象風景から見えるものは何か...もの静かで強靭な映像の言葉が満ちた作品。
鯨岡弘識