いまから100年前。学業優秀にも関わらず、アイヌの血を引くというだけで希望する進学を阻まれた少女テル。アイヌというだけで差別を受け、未来への道が閉ざされ、テルは自問する。「この苦しみもカムイの神様が与えているの?」そんな時、アイヌ語研究の第一人者兼田教授が北海道に訪れ、アイヌの口承文芸ユカㇻを日本語訳に訳すこと を勧められる。文字を持たないアイヌ文化を文字に残す。テルは幾千年の伝統を持つ美しい言葉を残すために上京を決意。将来を誓うアイヌの青年、一三四の元へ戻れない運命が待っていることを知らずに…。
菅原浩志
菅原浩志