唯一の家族だった父親を亡くし、心に穴があいたままの美巳。父の代わりに店を切り盛りする為にやって来た伯母・嘉子との向き合い方もわからず、訳もなく当たり散らしてばかり。目前に控えた美大の卒業制作も手を付けられず落ち着かない日々を過ごしていた。親友の希良は、何事も前向きな性格ながらも、そんな自分自身を持て余している。美巳との向き合い方がうまくいかない嘉子も、また人には言えない深い秘密を抱えていた。そんな美巳に不可思議な変化が起こり始める。見えないはずのモノが見え、聞こえるはずのない声や音が聴こえるようになってしまう。様々な出会いや体験を通じて、自分自身を正面から見つめ始める美巳。自分という小さな世界で生きてきた美巳が、人との出会いや不思議な体験を通して成長していく姿を描く。
今関あきよし