交通量調査員として働く達也は、身体の不自由になってきた母と二人暮らし。夜毎、母からのトイレを報せる呼び出しブザーが鳴り、日常的な介助に応じている。行き交う人々の数をかぞえて記録するばかりの仕事にも、カプセルホテルで過ごす夜にも、どこにも居場所を見出せずにいる。クラゲは、顔見知りだった独居老人の部屋へ毎日のように通い、植物状態の老人の世話をしているが、その団地は老朽化で取り壊されようとしていた。ある日、久しぶりに再会した幼なじみの雨を老人の部屋に案内するクラゲ。ささやかな交流を深めていくなかで、団地の取り壊し期日は迫っていく。クラゲと雨は、老人を連れてバンで旅に出るが…。
⼩辻陽平