ある朝ひとりの男が逮捕された。情事の果てに女性を絞殺したのだ。男の名は村尾菊治(豊川悦司)。菊治はかつて恋愛小説の旗手として注目された作家だったが、今では世間から忘れられた存在だった。菊治は自分のファンだという人妻・冬香(寺島しのぶ)と出会い、恋に落ちた。愛されることを知らずに生きてきた冬香。逢瀬の度に心と躰を烈しく求め合う2人。そして冬香の求めに応じ、菊治は冬香を殺めてしまう。「愛しているから殺した」――事件を担当する女性検事・織部美雪(長谷川京子)は、菊治の言葉に困惑しながらも真相を探っていく…。愛の果てに辿り着ける、男と女の“至高の純愛”を描いたラブストーリー。原作は、ベストセラー作家渡辺淳一が、男と女の根源的な相違をテーマに、深遠な愛を描いた恋愛小説「愛の流刑地」。日本経済新聞で連載された同作は、その過激さゆえ、賛否両論を巻き起こすなど、まさに日本中を“愛ルケ”現象で覆いつくした。
鶴橋康夫
先日、日本映画製作者連盟から発表された2006年の映画産業諸統計。驚かれた方も多いことでしょう。年内に日本で劇場公開された作品は全部で821本(内訳:邦画417本、洋画404本)でしたが、21年ぶりに、邦画全体の興行収入が洋画のそれを上回ったとのこと。ハリウッドの大作が幅をきかせていた時代が終焉を迎えたのか。それとも日本が絶好調なのか。はたまた、ハリウッドが絶不調なのか。きっと、いずれもが入り混じった結果なのでしょう。
禁じられた愛に溺れる一組の男女。未来のない男女が、激しく愛し合ったその果てに行き着いた場所、それを渡辺淳一先生は“愛の流刑地”と名づけました。