“神童”として大人の期待を背負いながらも、その才能を持て余している13歳のピアニスト・うた(成海璃子)。球技は禁止、いつも手袋を着用という窮屈な日常に反抗し、最近はレッスンもさぼりがち。さらに父親の不在や母との葛藤が胸に大きくのしかかり、ピアノが好きかどうかすら分からなくなってきた。そんなある日、音楽大学を目指す浪人生・ワオ(松山ケンイチ)に出会う。それまでひとりの世界に生きてきたうたはワオと様々な音を共有する中で、新しい感情を経験し始める。そして一時的に聴覚を失うという試練に見舞われながらも、他者と音を奏でる喜びを知り、やがて音楽そのものである自分自身を受け入れていく…。
萩生田宏治