大手家電メーカーに勤める大崎俊介は部下からの信頼も厚く、将来を嘱望される会社員だ。重役への出世も目前で、生活は順風満帆なように思えた。しかし、気付けばその家庭は多くの問題を抱えていた。妻・昭子との関係は冷え切り、2人の間には何年もろくな会話がない。息子の大介は、大学受験に失敗してからアルバイトを転々としており、家に帰っても逃げるように自分の部屋に閉じこもってしまう。娘の咲子は高校生だというのに毎晩帰りが遅く、俊介の忠告も聞かず何を考えているのか分からない。俊介が仕事に追われている間に、家族は確実にバラバラになりかけていた…。
田中光敏