隆と亜矢はマジックショー会場で生き別れとなり、涼は恋人のゆりが死んだと聞かされる。古川と藤井はそんな2組の恋を繊細に演じ分け、名前は違っても運命に導かれるように惹かれ合う様をひたむきに体現。さらに、古川はドラマ「イタズラなKiss~Love in TOKYO」(2013年)でも評判になった甘いキスを本作でも披露している。隆が海に沈む直前、駆けつけた亜矢と交わす美しいキスは、胸をときめかすラブシーンであると同時に物語の重要な鍵ともなっている。
そして、物語を彩るもうひとつの要素は、音楽。人気ラッパーのプロフェッサー・グリーンが女性歌手のエミリー・サンデーと組んだ「Read All About It」が挿入歌として印象的なシーンで流れる。男女のかけあいで真実を探っていくような歌は、本作のテーマにぴったり。さらに、ニュー・フォークソングの旗手として知られるパッセンジャーの「Let Her Go」や、ジャズ歌手カロ・エメラルドの「Paris」などが、運命に翻弄される恋をいっそうせつなく盛り上げる。欧米の音楽シーンに詳しいクァク監督ならではのハイセンスなセレクトをラブストーリーの一部として楽しみたい。
STAFF:監督・脚本:クァク・ジェヨン
CAST:古川雄輝、藤井武美、石井智也、袴田吉彦、小市慢太郎、中田喜子、竹中直人
主題歌:華原朋美「風の色」(UNIVERSAL J)
挿入歌:Professor Green /Read All About It (Feat Emeli Sande) (USM JAPAN)
原作小説:「風の色」著:鬼塚忠、原案:クァク・ジェヨン(講談社文庫刊)
マジック監修:Mr.マリック