【アカデミー賞】歴史を塗り替える快挙の数々をふり返り

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第84回アカデミー賞バックステージ(左から)クリストファー・プラマー、オクタヴィア・スペンサー、メリル・ストリープ、ジャン・デュジャルダン Todd Wawrychuk / -(C) A.M.P.A.S.
  • 第84回アカデミー賞バックステージ(左から)クリストファー・プラマー、オクタヴィア・スペンサー、メリル・ストリープ、ジャン・デュジャルダン Todd Wawrychuk / -(C) A.M.P.A.S.
  • 『アーティスト』チーム Michael Yada / -(C) A.M.P.A.S.
  • メリル・ストリープ Matt Brown / -(C) A.M.P.A.S.
  • 『アーティスト』ジャン・デュジャルダン&犬のアギー Todd Wawrychuk / -(C)A.M.P.A.S.
  • クリストファー・プラマー Michael Yada / -(C) A.M.P.A.S.
  • オクタヴィア・スペンサー(右)&ヴィオラ・デイヴィス(左) Matt Petit / -(C)A.M.P.A.S.
  • 『別離』アスガ—・ファルハディ監督 Michael Yada / -(C)A.M.P.A.S.
フランスからハリウッド映画への愛を込めた『アーティスト』と、パリを舞台に映画の魅力を描いた『ヒューゴの不思議な発明』。共に古き良き時代の映画にオマージュを捧げる2作が最多5部門に輝き、幕を閉じた第84回アカデミー賞。フランス映画として初の快挙を果たした『アーティスト』の功績を筆頭にして、今年は様々な記録が塗り替えられた、歴史的なアカデミー賞授賞式となった。

今年最大の注目の的となっていたのは、前述の2作が手にする栄冠のゆくえ。ノミネーションの段階では、『ヒューゴの不思議な発明』が最多11部門でのノミネート、『アーティスト』はそれに続く10部門のノミネートであった。蓋を開けてみると、授賞式前半に発表された撮影賞に美術賞、視覚効果賞、録音賞、音響編集賞を受賞と、瞬く間に『ヒューゴの不思議な発明』が5部門で受賞し、体勢有利かと思われた。だが後半に入ると一転、『アーティスト』の逆襲と言わんばかりに、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、主演男優賞(ジャン・デュジャルダン)、作曲賞、衣裳デザイン賞、そして作品賞を獲得、同じ5部門で最多受賞の快挙を果たした。惜しくも作品賞を逃した巨匠マーティン・スコセッシだが、映像技術的な面が高く評価された点において、自身初の3D映画にさらなる可能性と手ごたえを感じたのではないか。

俳優部門でも後世に大きな可能性を伝える感動の瞬間があった。まず助演男優賞のクリストファー・プラマー(『人生はビギナーズ』)は御歳82歳にして、史上最高齢のオスカー受賞となった。1950年頃に舞台デビューして以来、半世紀以上にもわたり名演を見せてきた大御所俳優が、授賞スピーチで「ケネス・ブラナー、ジョナ・ヒル、ニック・ノルティ、マックス・フォン・シドー、あなたたちと一緒にノミネートされて本当に誇らしく思っています」と肩を並べた老若の候補者に対して贈られた称賛と労いの言葉からは彼の真摯な姿勢がうかがえ、また彼を見つめる同い年のマックス、さらに同じ舞台出身のケネスの眼差しからはクリストファーへの愛と尊敬の念が感じられた。

大御所の貫禄を見せつけたひとりと言えば、もちろんメリル・ストリープ(『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』)の29年ぶりの快挙も外せない。のべノミネート回数は17回、うち14回は涙をのんできたわけだが、自分で「アメリカの半分が『またか!』って思ったこでしょう」と言えるまでには、ノミネート常連ならではの並々ならぬ重圧とプレッシャーもあったはず。ストイックな女優魂と愛情あふれる彼女の快挙に、サンドラ・ブロックら涙を浮かべる女優たちの姿も見られた。

さらに、外国語映画賞においても『別離』がイラン映画としては初のオスカー受賞という快挙を果たした。ノミネート自体、実に13年ぶりの快挙であったが、それまでにもベルリン国際映画祭での史上初の3冠を始め、セザール賞にインディペンデント・スピリット賞と、本作に対する欧米での高評価はイラン映画としては近年稀に見るほどであった。受賞スピーチの舞台に立ったアスガ—・ファルハディ監督は、「多くのイラン人が世界各国で我々を見ており、喜んでいただいていると思います。いま戦争の話、そして攻撃の話が出ています。そしてイランという国は我々の文化と離れて語られており、政治の影に隠れてしまっています。この賞をイランの人々に捧げます。あらゆる文化、あらゆる文明を尊重する国民です。そして憎しみ、そして敵対的な行動を憎しむ国民です。ありがとうございました」と、イランの国民・文化についての理解を訴えると共に、新たな歴史の1ページがもたらした希望を世界に向けて発信した。

様々なドラマが今年も見られたアカデミー賞。結果だけ見れば下馬評通りの受賞と思った方も少なくないだろうが、人物の偉業に寄った作品や社会派の作品が好まれやすい傾向の中で、『アーティスト』『ヒューゴの不思議な発明』の快挙は、純然たるエンターテインメントを楽しむという映画本来の感動を再確認させてくれる機会になったのでは。あなたは今年のアカデミー賞の結果をどう考える?

特集:第84回アカデミー賞
http://www.cinemacafe.net/special/oscar2012/

第84回アカデミー賞受賞結果

■作品賞
『アーティスト』

■監督賞
ミシェル・アザナヴィシウス(『アーティスト』

■主演男優賞
ジャン・デュジャルダン (『アーティスト』

■主演女優賞
メリル・ストリープ(『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

■助演男優賞
クリストファー・プラマー(『人生はビギナーズ』

■助演女優賞
オクタヴィア・スペンサー(『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』

■外国語映画賞
『別離』(イラン)

■オリジナル脚本賞
『ミッドナイト・イン・パリ』

■脚色賞
『ファミリー・ツリー』
■撮影賞
『ヒューゴの不思議な発明』

■編集賞
『ドラゴン・タトゥーの女』

■美術賞
『ヒューゴの不思議な発明』

■衣装デザイン賞
『アーティスト』

■メイクアップ賞
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

■作曲賞
『アーティスト』

■歌曲賞
「Man or Muppet」(『ザ・マペッツ』

■録音賞
『ヒューゴの不思議な発明』

■音響編集賞
『ヒューゴの不思議な発明』

■視覚効果賞
『ヒューゴの不思議な発明』

■長編アニメ映画賞
『ランゴ』

■長編ドキュメンタリー映画賞
・『Undefeated』(原題)

■短編ドキュメンタリー映画賞
・『Saving Face』(原題)

■短編アニメ映画賞
『The Fantastic Flying Books of Mr. Morris Lessmore』(原題)

■短編映画賞
『The Shore』(原題)
《text:cinemacafe.net》

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