トンデモ妄想男・ステファンがキュートなのはガエルのおかげ!『恋愛睡眠のすすめ』レビュー
現実問題として、自分の隣にこんな男の子がいたら、さぞうっとうしいのではないかと思う。あまりにも内気すぎて自己紹介も満足にできず、したがって恋心を伝えることなど夢のまた夢。自分の不甲斐なさに嫌気がさし、意中の相手との関係が成就している夢の世界へと現実逃避してしまう…。う、うっとうしい。うっとうしすぎる。しかも、そこまでならまだ可愛らしい(?)ものの、逃避先の夢世界と現実を頭の中でごちゃまぜにしてしまい、「僕の恋心を知っているくせに、君って何ていけずなんだ!」と、振り向いてくれない相手にいちゃもんをつけ始める始末。お、恐ろしい。恐ろしすぎる。
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監督のミシェル・ゴンドリーは自身の体験をもとに物語を考え出したそうで、ガエル・ガルシア・ベルナル演じた主人公の妄想男・ステファンは彼自身を色濃く反映しているという。
「今をときめくガエルくんに自分を演じさせるなんて…」と思わずツッコみたくなるところではあるし、ゴンドリー自身も「自分がガエルと同じくらいカッコいいと勘違いしていると思われたらどうしよう」と元祖ステファンらしい繊細な(どうでもいい)不安を抱いていたが、この起用が映画を成功に導いていると言っていい。こんなにもうっとうしく、恐ろしい青年を、キュートなラブストーリー世界の住人にできるのはガエルだけだからだ。
もちろん、愛くるしくもクレイジーな映像世界を作り上げたゴンドリーの手腕も忘れてはならない。『エターナル・サンシャイン』では恋に冷めた恋人同士を奇抜な展開の中で奮起させた彼が、今度は主人公をままならない恋と戦わせている。ゴンドリーは言っている。「僕は自分を好きになってくれない女性を好きになってしまうんだ」
『恋愛睡眠のすすめ』に登場する突拍子もない主人公に共感を抱けるのは、その根っこに作り手のリアルな感情が詰まっているからだ。