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妻夫木聡×松山ケンイチ インタビュー 尊敬を惜しまず互いに共鳴しあう存在へ

妻夫木聡、松山ケンイチ──人気実力ともに申し分のない2人の俳優が、ついに『マイ・バック・ページ』で初共演を果たした。互いにずっと待ち望んでいたという今回の共演は、彼らの役者魂を刺激し、共鳴させ、体の奥底でつながっているような深い関係を生み出した。それは尊敬し合い、認め合い、嫉妬し合う、まさに実力あってこそ築ける関係。妻夫木聡と松山ケンイチのツーショットインタビューから垣間見えたものとは…。

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『マイ・バック・ページ』妻夫木聡×松山ケンイチ photo:Yoshio Kumagai
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妻夫木聡、松山ケンイチ──人気実力ともに申し分のない2人の俳優が、ついに『マイ・バック・ページ』で初共演を果たした。互いにずっと待ち望んでいたという今回の共演は、彼らの役者魂を刺激し、共鳴させ、体の奥底でつながっているような深い関係を生み出した。それは尊敬し合い、認め合い、嫉妬し合う、まさに実力あってこそ築ける関係。妻夫木聡と松山ケンイチのツーショットインタビューから垣間見えたものとは…。

「自分と向き合うことは一生終わらない」(妻夫木さん)

映画の舞台となるのは1969年から1972年の日本。1964年に起きたベトナム戦争などを背景に、国家に疑問を持つ若者たちが、学生運動に身を投じていた時代だ。本作はその激動の時代を生きた2人の若者の、夢と現実と葛藤を描いた青春映画。妻夫木さんは理想に燃える新米ジャーナリスト・沢田を、松山さんは革命を目指す若き活動家・梅山を演じている。メガホンを取った山下敦弘監督は「僕以上に2人は役のことを分かっている」と称えているが、自分たちの知らない時代を生きる青年像をどうやって作り上げたのだろうか。

妻夫木さんはこう語る。「山下監督が一番こだわっていたのは、時代描写をリアルにやった方がいいのかどうかということでした。実際にその時代を生きていた人間はスタッフにいない、だから僕らが作る60〜70年代、僕らのなかの60〜70年代にしよう──という監督の話を聞いたとき、僕のなかで何かスイッチが入ったんですよね」。

以前から「山下監督と仕事がしたい!」と熱望していただけに、言葉一つ一つに重みがある。本人は「奇跡的に願いが叶っただけ」と謙遜するが、昨年の『悪人』、本作『マイ・バック・ページ』、待機作『スマグラー』、自ら切望し役を手に入れられたのは、実力はもちろん、これまで積み上げてきた真摯な生き方ゆえ。『悪人』をきっかけに精神的な役作りをするようになったという妻夫木さんは、沢田を演じ、何を伝えたかったのか。
「70年代の日本は学生運動があって、ジャーナリズムがあって、みんな進むべき道があって、一人一人が思想を持って立ち上がっていた時代。そういうエネルギーは、時代が変わっても確実にあるはずだと僕は思っていて。でも、現代はやれることも熱くなれることもありすぎて、迷ってしまっているんじゃないか、そんな気がするんです。僕がこの映画をやって思ったのは、人は自分と向き合うことを忘れがち、それでも自分と向き合うことは一生終わらない、自分自身とずっと闘い続けなければならないことでした」。

順応できる役者・妻夫木聡に「甘えてしまおうって思った」(松山さん)

そんなふうに、どれだけ心を動かされたのかを熱く語る妻夫木さんの隣で、静かにうなずくもうひとりの演技派俳優、松山さん。尊敬する先輩俳優との共演で見えてきたものとは何だったのか。
「妻夫木さんはものすごい精神力で役と向き合っているんです。役を持続させる精神力がすごい、繊細な芝居が素晴らしい、僕が努力しても到底到達できないですね。『妻夫木さんには極上の“普通”がある』と山下監督が言っていて、その通りだなと思いました。だから梅山を演じるにあたって、すごく不安だったんです。妻夫木さんに対する不安ではなく、僕が梅山としてしっかりと妻夫木さんの前に立てるか、沢田の前に立てるかという不安、緊張もありました。でも、撮影現場に入って1日目、妻夫木さんがどんなことにも対応してくれる役者であることが分かって、気持ちが楽になった。どこまでも甘えてしまおうって思ったんですよね」。

また、梅山という人物像については「良く分からない」と説明する。
「梅山の内面には葛藤はない、そう捉えて演じていました。というのは、片桐(梅山の本名)は沢田の前にいるときは革命家・梅山としてそこにいるわけで、映画のなかでさらに違う役を演じているような感覚なんです。梅山は相手によってどんどんキャラクターを変えていく男、本当に不思議な役でした」。

暴力で世界を変えられると信じ、赤邦軍リーダーとして沢田の前に現れた梅山。取材を通じて梅山の魅力に惹かれ、疑念を抱きながらも彼を信じた沢田。互いが持っていないものを求め合う2人の関係性は、そのまま俳優・妻夫木聡と松山ケンイチにも重なる──。そして「到底到達できない存在」だと言う松山さんに、妻夫木さんは「僕が持っていないエネルギーを持っている、それを吸収させてもらえるかなと思った」と明かし、若く鋭い感性、あらゆることを吸収するアンテナを持つ松山さんとの共演を心底楽しんだと笑顔を見せる。
「僕と松ケンが単純に仲のいい2人だったら、逆に(この共演は)面白くなくなったかもしれないなと思っているんです。飲みに行って語り合おうぜっ! という間柄にならない距離感が心地よかったし、それは『マイ・バック・ページ』の2人の距離感とも似ているなって」。

後輩の松山さんにとって、この言葉は何よりも嬉しいはず。はにかみながら先輩に負けじと自分の心の内をこう伝える。
「今日の取材もそうなんですけど、妻夫木さんが話していることで、いいなと思ったことがあって。それは泣けることに関して。最近『泣くようになった、(感情を)開放できるようになった』とおっしゃっていたんです。男にはプライドとか意地とか色々な要素があって、泣きたくないという思いがある。それでも(演技で)泣けるのは、人間の本質で話したり表現したりしているからだと思うんですよね。それは僕にはないもの。鎧を脱ぎ捨てられる妻夫木さんは、たまらなく格好いい」。

本当に尊敬していないと出てこない褒め言葉の数々に、妻夫木さんは「あとでお小遣いをあげないと(笑)」と、茶化して照れを隠す。そのさまがまた格好いい。

伝えたかったメッセージ「自分と向き合うきっかけになれたら」

妻夫木さんや松山さんが、同世代の俳優のなかで群を抜いた存在であるのは、溢れんばかりの情熱を持ち続けているから。その半端ない情熱は羨ましくもあるが、妻夫木さんはつかみ取るものだとメッセージを贈る。
「僕はたまたま役者という仕事に巡り会って、役者が一生の仕事だと言い切れるようになったけれど、そういうものが見つかっていない人は大勢いると思うんです。僕が言えるのは、やりたいことがあるなら挫折するくらいとことんやっちゃえよ! ということ。失敗を恐れずに挑戦することは単純でものすごく大変。でも、自分と向き合っている人は後悔していないんです。この『マイ・バック・ページ』が自分と向き合うきっかけになってもらえたら嬉しいですね」。

気づきを与えてくれる映画、きっかけを与えてくれる映画は、きっと何年も何十年も語り継がれる“いい映画”であり、『マイ・バック・ページ』はまさにそれに当てはまる“いい映画”に違いない。



<Satoshi Tsumabuki>
Hairmake:Katsuhiko Yuhmi(THYMON)
Stylist:Yasuomi Kurita
<Kenichi Matsuyama>
Hairmake:Tadashi Kukuchi(LUCK HAIR)
《photo:Yoshio Kumagai / text:Rie Shintani》

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